1997 Fiscal Year Annual Research Report
肥満NIDDMにおけるβ_3-アドレナリン受容体の遺伝子異変とPC-1の分析
Project/Area Number |
08671188
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
岩本 安彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60143434)
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Keywords | NIDDM / β3アドレナリン受容体遺伝子 / インスリン抵抗性 / PC-1 / レプチン |
Research Abstract |
1. NIDDM患者におけるβ_3アドレナリン受容体(β AR)遺伝子変異:NIDDM患者134名のβ AR遺伝子のTrp 64Arg変異の頻度を調べた結果、変異のないもの(TT)、ヘテロ変異(TA)、ホモ変異(AA)はそれぞれ69、25、6%であり、変異と肥満度、糖尿病発症年齢の関連は明らかではなかった。BMI(肥満度)を合致させたTT、TA、AA各群ではウエスト/ヒップ比、体脂肪率、既往最大肥満度に差はなかった。血中レプチン濃度は、男女ともにBMIと逆相関をみとめたが、回帰直線の勾配にはTT、TA、AA各群で有意差はなかった。内臓型肥満で増加するといわれる血中PAI-1濃度は、女性においてTT、TAの2群間で差をみとめたが、他の群間では差はなかった。以上より、NIDDMにおけるβ ARの変異の有無と肥満のタイプとの関連は明らかではなかった。 2. NIDDM患者におけるインスリン抵抗性とPC-1活性の関連:インスリン受容体チロシンキナーゼを阻害する膜糖蛋白PC-1が同定され、インスリン抵抗性をもたらす因子の一つとして注目されている。日本人NIDDM患者12名および、GTT正常型を示した健常者7名より同意を得て前腕皮膚の生検を行い、培養皮膚線維芽細胞のPC-1活性を測定した結果、NIDDM患者のPC-1活性は98.3±31.8nmol/mg/minであり、健常者のPC-1活性42.6±13.8に比し高値を示した。 3. Werner症候群(WS)の遺伝子変異の同定とPC-1活性の測定:インスリン抵抗性を示したWS症例の遺伝子を検索し、Mutation 4(exon-intron junctionのg→c変異)とmutation6(369番のCGA→TGA変異)の複合変異を見出すとともに、PC-1活性の高値(99.0nmol/mg/min)を明らかにした。 4. 肥満者および糖尿病患者における血清レプチン濃度:健常者、耐糖能障害、糖尿病患者の血清レプチンを測定し、性差がみられること、肥満度と相関すること、耐糖能の程度とは相関しないこと、GTT時に有意に低下することなどを示した。
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[Publications] 熊倉 忍: "PC-1のインスリン受容体チロシンキナーゼ阻害作用とインスリンの細胞内情報伝達系に及ぼす影響" 分子糖尿病学. 7. 57-60 (1996)
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[Publications] 手納信一: "Werner Syndromeにおける遺伝子変異の同定とチロシンキナーゼ阻害物質PC-1活性の測定" 日本臨床代謝学会記録. 34. 38 (1997)
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[Publications] Yoshimasa Tasaka: "Human Plasma Leptin in Obese Subjects and Diaberics" Endocrine J. 44・5. 671-676 (1997)
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[Publications] Hiroto Furuta: "Organization and Partial Sequence of the Hepatocyte Nuclear Factor-4α/MODY 1 Gene and Identification of a Missense Mutation,R127W,in a Japanese Family with MODY" Diabetes. 46・10. 1652-1657 (1997)