1997 Fiscal Year Annual Research Report
アポ蛋白E遺伝子変異とリポ蛋白糸球体症に関する研究
Project/Area Number |
08671195
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐々木 淳 福岡大学, 医学部, 助教授 (90122697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 彰 福岡大学, 医学部, 講師 (60221587)
|
Keywords | アポリポ蛋白E / アポE / 遺伝子変異 / リポ蛋白糸球体症 / リコンビナント / 発現 / III型高脂血症 |
Research Abstract |
アポリポ蛋白(アポ)Eは血清中においてカイロミクロン及び超低比重リポ蛋白(VLDL)レムナントの主要なアポ蛋白である。アポEは細胞表皮面に存在する低比重リポ蛋白(LDL)受容体などへ結合し、これらのリポ蛋白を細胞内へ取り込む役割をする。アポE変異体はIII型高脂血症、早発生粥状動脈硬化を来す。III型高脂血症の95%以上はアポE2/E2から発症する劣性遺伝病である。我々は、これまでに極めてまれな優性遺伝型式を呈するIII型高脂血症を起こすアポE1(Lys146Glu)などを報告してきた。さらに、III型高脂血症に加えて蛋白尿、腎機能障害を引き起こし病理組織学的に糸球体内にアポB、Eを含むリポ蛋白血栓症を特徴とする原因不明の疾患、リポ蛋白糸球体症(Liporotein glomerulopathy,LPG)の家系の症例においてアポE変異体、アポE Sendai(Arg145Pro)を検出しLPGとの関係を世界で初めて明らかにした。また、アポE SendaiとLPGの関係を調査し、LPGの単独症例の5例及び5家系においてアポE Sendaiを検出した。これに対して、正常コントロール群100例には、アポE Sendaiを認めなかった。また、同様の組織像を示すアポE変異体アポE Kyoto(Arg25Cys)を見い出した。アポE Sendai及びアポE Kyotoの変異遺伝子と正常アポE3遺伝子をCOS-1細胞及び大腸菌に発現させて変異および正常アポEの精製を行った。また、COS-1細胞に発現させ精製したアポE Kyoto及び正常アポEをリン脂質で再構成させヒト皮膚線維芽細胞のLDL受容体への結合を検討し、変異アポEではLDL受容体への結合が低下していることを見いだした。これらの結果からアポE変異体の一部はレムナントの増加をもたらすとともに、LPGの発症に密接に関係している事が考えられた。
|
Research Products
(1 results)