1996 Fiscal Year Annual Research Report
血液系腫瘍細胞におけるPRAD1/サイクリンD1の異常発現とその作用
Project/Area Number |
08671217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本倉 徹 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助手 (00192823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内丸 薫 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助手 (60251203)
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Keywords | 癌遺伝子 / サイクリン / 血液系腫瘍 / PCR |
Research Abstract |
1.PRAD1/サイクリンD1関連腫瘍の遺伝子診断の確立:我々が考案したcompetitive RT-PCR法では,RNA10ngもしくは全血1μl相当から1回のRT-PCRですべてのD型サイクリンの相対的発現量をアガロースゲル上で検出できるため,少量の検体でPRAD1/サイクリンD1関連腫瘍の診断をすることができる.45株の血液系細胞株と104症例の臨床検体から抽出したRNAを解析すると,11;14転座を有する腫瘍細胞(2細胞株および7症例の臨床検体)では明らかなサイクリンD1の過剰発現パターンが検出された.さらに染色体分析では解析できなかった症例も含めて6例の新たなサイクリンD1過剰発現例が見いだされた.また,103例の末梢血と30例の骨髄をスクリーニングしたところ,3例の陽性例を検出しえた.11;14転座型腫瘍細胞の希釈実験では,腫瘍含量50%以上でサイクリンD1過剰発現が明瞭に検出することができた.さらに,HTLV-1感染T細胞株でサイクリンD2の過剰発現が検出され,サイクリンD1過剰発現だけでなく,サイクリンD2の異常発現も検出することができる.以上から,このRT-PCRは信頼のおける臨床検査法として有用できることが確認された(Blood1997 in press).2.血液細胞におけるD型サイクリンの発現様式の検討;臍帯血由来CD34陽性細胞を用いて,上記RT-PCRを改良したnested RT-PCRを新たに開発し,正常ヒト造血細胞でのD型サイクリンの発現を解析した.サイトカインの刺激によってCD34陽性細胞でサイクリンD1の発現が誘導された.さらにCD34陽性細胞由来の366colonyを解析し,解析可能な120colonyの結果から,CFU-GEMM,CFU-GM,BFU-EやCFU-MegにサイクリンD1は発現するものの,CFU-GではサイクリンD1を発現しないことが明らかとなった.これは,末梢血中の細胞の解析と一致し,顆粒球系細胞の成熟の早期でサイクリンD1の発現が消失することを示している.
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[Publications] Kaoru Uchimaru: "Detection of cyclin D1(bcl-1,PRAD1)overexpression by a simple competitive reverse tronscription-polymeruse chain reaction in t(11;14)(q13;q32)-bearling B-cell malighancies and/or mantle cell lymphma" Blood. (in press). (1997)
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[Publications] Kaoru Uchimaru: "Oncogenic collaboration of the cyclin D1(PRAD1,bcl-1)gane with a mutated p53 and an activated ras oncogene in neplastic transformation" Japanese Journal of Cancer Research. 87. 459-465 (1996)