1996 Fiscal Year Annual Research Report
再生不良性貧血患者の造血傷害性T細胞が認識するHLA-DR2結合ペプチドの同定
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08671223
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中尾 真二 金沢大学, 医学部, 講師 (70217660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 綱治 東京大学, 医学部, 教授 (50222427)
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Keywords | 再生不良性貧血 / 造血傷害性T細胞 / HLA-DR2 / HLA-DRB1^*1501 / T細胞クロノタイプ / Vβ15 / hsp70 |
Research Abstract |
予定していた造血傷害性T細胞クローンの認識するペプチドの同定は,T細胞クローンの維持が困難となったため,方針を変更し,HLA-DRB1^*501陽性のシクロスポリン(CyA)依存性再生不良性貧血(再不貧)の骨髄で優勢に増殖しているT細胞クロノタイプと,再不貧患者末梢血リンパ球におけるheat shock protein (hsp)70の発現について検討した.輸血歴のないCyA依存性の2症例において,クローン性増殖を示すT細胞のVβファミリーのうち,両例に共通していたのはVβ15のみであった.そこで輸血既往のある2例を加えた4症例について,骨髄Vβ15cDNAのCDR3領域のアミノ酸配列を決定したところ,2例において類似のモチーフ(DLTXGP)を持つクローンがそれぞれ全体の72%,18%に検出された.したがって,免疫機序による再不貧では,このような共通のCDR3モチーフに対応した抗原が発症に関与している可能性が示唆された.一方,造血傷害性T細胞クローンの対応抗原の検索過程で,CyA反応性の患者の末梢血単核細胞では,hsp70が容易に誘導されるこが観察された.そこで,hsp70の発現亢進が再不貧の免疫機序と関係しているか否かを明らかにするため,再不貧を含む血液疾患患者の末梢血リンパ球中のhsp70の発現をフローサイトメトリーとウェスタンブロッティングを用いて検討した.in vitroでの熱ショックによるリンパ球中のhsp70の誘導は,健常人,骨髄異形成症候群,CyA無効の再不貧患者などでは検出されなかったが,CyA反応性の再不貧患者では全例のリンパ球に検出された.hsp70の発現はT細胞,非T細胞の両者に認められたがT細胞に優位であった.したがって,T細胞にhsp70の発現をもたらすような抗原刺激が再不貧発症の免疫機序に関与していることが示唆された.
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[Publications] Nakao S,et al.: "Isolation of a T-cellclone showing HLA-DRB1^A 0405-restricted cytctexicity for hematopoietic cells in a patient with oplastic anemia" Blood. (in press). (1997)
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[Publications] Takami A,et al.: "Heat shock protein70 (hsp70) is inducible in peripheral blood lymphocytes of aplastic anemia patients responsive to cyclosporine therapy" Blood. 88. 436a- (1996)
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[Publications] Nakao S,et al.: "Vβ15+T-cells with a similar clonotype dominantly proliterat e in the bone marrow of oplastic anemia patients with HCA-DRB1^*1501 respencive to cyclosporine therapy" Blood. 88. 647a- (1996)