1996 Fiscal Year Annual Research Report
動脈平滑筋細胞の増殖におけるGla含有蛋白質およびそのリセプターの作用機序の解析
Project/Area Number |
08671240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 博子 九州大学, 医学部, 講師 (30180003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 宏明 九州大学, 医学部, 助教授 (00235681)
水野 健作 九州大学, 理学部, 助教授 (70128396)
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Keywords | Protein S / Gas 6 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
血管平滑筋細胞の増殖は、動脈硬化病巣での内膜肥厚に中心的な役割を果たす重要な現象である。 1992年にGasicらが、γ-carboxyglutamic acid(Gla)含有の凝固制御因子であるProtein Sが、血管平滑筋細胞を増殖させることを報告した。近年、Protein Sに類似した構造のGas6が血管平滑筋細胞から分泌され、トロンビンによる血管平滑筋細胞の増殖を促進することが報告されたことから、Gla含有蛋白質の血管平滑筋細胞の増殖への関与が示唆されている。 われわれがHepG2細胞よりクローニングした受容体型チロシンキナーゼSkyは、細胞外にイムノグロプリン様ドメインとフィブロネクチンタイプ IIIドメインを2個ずつタンデムに並べた特徴的な構造を持ちAxl/Ufo、Eyk/Merとともに受容体型チロシンキナーゼの中で一つのサブファミリーを形成している。われわれおよび他のグループの検討から、Protein SとGas6がこれらの新規な受容体型チロシンキナーゼの生理的リガンドであることが明らかとなった。 本研究では、血管平滑筋細胞の増殖におけるこのリガンド-受容体系を介する新規なシグナル伝達機構の分子機構の解明を試みる。 ラット大動脈より作成した血管平滑筋細胞の初代培養系を用いて、静止状態と増殖誘導時におけるProtein S、Gas6およびSkyの発現を、mRNA、蛋白質のレベルで検討中である。mRNAの解析にはnorthern blotting法とRT-PCR法を用い、蛋白質レベルでの解析は、western blotting法にて行う。 Gla含有蛋白質のなかで、Protein SとGas6はC末端側に性ホルモン結合グロブリン様ドメインをもつ点で特異である。そこで、受容体との相互作用に関与する機能ドメインを明らかに目的で、Protein S分子のN末端側およびC末端側の一部を欠如した変異をoverlap extension法にてProtein S cDNAに導入し、HEK 293 cellに遺伝子導入して変異Protein S分子の調整を試みている。一方、Protein S分子上の各ドメインに特異的に反応するモノクローン抗体も作成中である。
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