1997 Fiscal Year Annual Research Report
活性化プロテインCによる実験的脊髄損傷の治療効果とその作用機序の解析
Project/Area Number |
08671242
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡嶋 研二 熊本大学, 医学部, 助教授 (60152295)
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Keywords | 脊髄損傷 / 活性化プロテインC / 血管内皮細胞 / サイトカイン / 白血球 |
Research Abstract |
血管内皮細胞上でトロンビン・トロンボモヂュリン複合体により生成される血液凝固制御蛋白である活性化プロテインC(APC)は、活性型凝固第Vおよび第VIII因子を不活化することが知られているが、さらにAPCが単球からのサイトカイン産生を抑制する作用があることをin vitroおよびin vivoで確認し、報告した。APCの脊髄損傷に対する治療効果を解析し、以下の結果を得た。まず、ラット脊髄圧迫外傷モデルを作成し、このモデルにおける脊髄損傷発症に白血球が重要な役割を担っていることを確認した。このモデルに損傷前、もしくは損傷後にAPCを投与すると、損傷後24時間で、観察される後肢の運動麻痺は著明に改善された。同時に傷害脊髄を組織学的に観察すると、出血性病変がAPC投与により著明に改善されていることが判明した。傷害組織部位の白血球集積もAPC投与により著明に減少していることが判明した。トロンビン生成を選択的に抑制する不活化凝固第X因子には、APCに認められた様な、脊髄損傷抑制効果、脊髄組織の出血性変化の軽減効果、および白血球の傷害組織への集積抑制効果は認められなかった。これらの結果から、APCは、脊髄損傷発現において、その凝固抑制効果ではなくて、サイトカイン産生を抑制することで、傷害脊髄への白血球集積を阻害し、脊髄損傷を軽減する可能性が示された。今後は、APCの脊髄損傷抑制効果およびサイトカイン産生抑制効果のより詳細な分子機序について、解析を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Taoka Y,et al.: "Role of neutrophils in spinal cord injury" Neuroscience. 79. 1177-1182 (1997)
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[Publications] Taoka Y,et al.: "Gabexate mesilate,a synthetic protease inhibitor,prevents compression induced spinal cord injury" Crit Care Med. 25. 874-875 (1997)
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[Publications] Taoka Y,et al.: "Reduction of spinal cord injury by iloprost" J Neursurg. 86. 1007-1011 (1997)
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[Publications] Taoka Y,et al.: "Activated protein C reduces the severity of compression-induced spinal cord injury." J Neurosci. 18. 1393-1398 (1998)
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[Publications] Okajima K: "The anti-inflammatory properties of antithrombin III" Semin Thromb Hemost. 24. 27-32 (1998)
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[Publications] Okajima K: "Antithrombin prevents endotoxin-induced pulmonary vascular injury by inhibiting leukocyte activation" Blood Coagul Fibrinol. (in press). (1998)
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[Publications] 岡嶋研二: "播種性血管内凝固症候群-診断と治療への新しいアプローチ-" 医学書房(大阪)(印刷中), (1998)
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[Publications] 岡嶋研二: "血管内皮細胞障害-その基礎と臨床-" 総合医学社(東京)(印刷中), (1998)