1996 Fiscal Year Annual Research Report
腎髄質部細いヘンレの上行脚のクロライド輸送調節機構の解析
Project/Area Number |
08671269
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義明 東北大学, 医学部, 講師 (00221250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 哲司 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
藤原 幾麿 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10271909)
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Keywords | ヘンレループ / クロライドチャンネル / 細胞内カルシウム / 細胞内pH / カルモデュリン / 顕微蛍光測光 / 尿細管 / 微小潅流法 |
Research Abstract |
ヘンレの細い上行脚(以下ATL)は、腎髄質内層に位置し、受動的NaCl拡散をつかさどる。この部位のNaClの再吸収は、細胞膜上に著しく豊富なCl^-チャンネルClC-K1と細胞間隔のナトリウム透過性による。Cl^-チャンネルは、細胞内外のpHやCa^<++>により調節される。細胞内のpHやCa^<++>の変化がCl-透過性に与える影響について検討した。ゴールデンハムスターより左腎を摘出し、ATLを単離し、倒立顕微鏡上で微小潅流した。経上皮電位は管腔内パ-フュージョンピペットと浴液の3M KClのflowing boundary電極間で測定し、浴液側のNaClの濃度を2分の1に低下させたときに生じるNaCl拡散電位と細胞内pHおよびCa^<++>の変化を観察した。 amilorideとnigericinは、NaCl拡散電位を低下させなかった。nicardipineは有意に経上皮電位を上昇させ、BAPTA-AMは低下させた。NH4Cl負荷時、浴液のpHを5.8に低下させると、細胞内pHの低下と拡散電位の低下が起こったが、NH4Cl負荷では除去時に拡散電位の変化は見られなかった。nigericinおよびBAPTA-AM負荷時、拡散電位は変化せず、細胞内pHの低下と細胞内Ca^<++>の上昇が観察された。BAPTA-AMは経上皮電位を低下させ、細胞内pHと細胞内Ca^<++>も低下させた。浴液酸性化により、拡散電位は低下し、nigericin投与下では同様の浴液酸性化がより強い拡散電位の低下を起こした。BAPTA-AMにより細胞内Ca^<++>濃度を低下させると、拡散電位は徐々に低下し、BAPTA-AM投与後には浴液酸性化による拡散電位の低下は著しく促進された。 trifluoperazineおよびW-7の存在下では浴液酸性化による拡散電位の低下速度は促進され、Ca^<++>・カルモデュリンは依存性キナーゼII抑制薬のKN62の存在下では、浴液酸性化による拡散電位の低下促進は観察されなかった。 以上より、浴液酸性化によるCl-透過性の抑制は細胞外からの作用で、細胞内Ca^<++>の変動はCa^<++>・カルモデュリン複合体を介してCl^-チャンネルの細胞外pH感受性を抑制すること、Ca++・カルモデュリン複合体のCl^-チャンネルの細胞外pH感受性にたいする作用はCa^<++>・カルモデュリン依存性キナーゼIIを介さないことが示唆された。
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