1998 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素による近位直尿細管細胞障害の発生機序とその予防
Project/Area Number |
08671295
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
田部井 薫 自治医科大学, 医学部, 講師 (90155234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 裕章 自治医科大学, 医学部, 助手 (40240981)
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Keywords | シスプラチン / アミノ酸 / 微小灌流法 / 集合尿細管 / 腎毒性 / グリシン / グルタチオン |
Research Abstract |
我々は、cis-Diamminedichloroplatinum(CDDP);シスプラチン)をウサギの皮質部集合尿細管(CCD)管腔側から投与すると、1)K channelを抑制することにより管腔内電位を過分極させる、2)灌流液からアミノ酸を除去するとCDDPにより管腔内電位は脱分極を起こす、3)管腔側CDDPはK channelと同時にNa channleも抑制する、4)AlanineはCDDPによるNa channel抑制に対し保護的に働いていることを明らかにした。さらに、CDDP浴液(血管側)に加えると形態的変化を伴って細胞障害を起こすことがわかり、10^<-5>M〜10^<-3>MまでのCDDPを血管側に投与すると濃度依存性にCCDの細胞障害とその後の細胞死を起こした。しかし、灌流液にGlycine、Alanineなどのアミノ酸やtripeptideであるGluthatione(GSH)を加えるとCDDPによる細胞障害は抑制され、これらの物質はCDDPによる尿細管障害に保護的に働くことも明らかにした。 今年度は、GSHおよびGlycineの保護作用の詳細を検討した。GSH synthesis inhibitorであるL-buthionine-S,R-sulfoximine(BSO)、γ-transpeptidase inhibitorであるacivicineを用いた。その結果、1)CDDPによる細胞障害は、GSHおよびGlycineにより完全に抑制される、2)その保護作用に対してBSOは保護作用に影響を与えなかった、3)acivicineはGSHの持つ保護作用を解除したが、Glycineの保護作用には影響を与えないことが明らかとなった。このことから、GSHおよびGlyはCDDPが惹起するCCD障害に対して保護的に作用するが、その機序として、細胞内へのGlycineの取り込みと蓄積が重要であるが、GSHの保護作用は細胞内でGSHがGlycineに変換されて発現することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ookawara,S,et al.: "The effect of cisplatin on potassium and sodium transport in rabbit cortical collecting duct." Nephrology. 3. S345 (1997)
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[Publications] 田部井薫、他: "シスプラチンによる集合尿細管障害におけるアラニン及びグリシンの保護作用に関する検討" 日腎会誌. 39. 216 (1997)
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[Publications] 大河原晋、他: "集合尿細管におけるNa,K輸送に対するシスプラチンの効果に関する検討" 日腎会誌. 39. 216 (1997)
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[Publications] 古谷裕章、他: "集合尿細管での管腔側シスプラチンの電解質輸送変化に対するアラニンの効果" 日腎会誌. 39. 216 (1997)