1996 Fiscal Year Annual Research Report
インシュリン非依存性糖尿病におけ腎障害進展阻止機構の検討
Project/Area Number |
08671298
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 晃一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80164937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 潔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90233296)
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Keywords | 肥満 / 腎障害 / 輸入細動脈 / 輸出細動脈 / インシュリン / 血管内皮 / 糸球体高血圧 / 耐糖能異常 |
Research Abstract |
近年インシュリン非依存性糖尿病による腎不全が、腎医療において重要な位置を占めるようになった。糖尿病では腎微小循環の異常が腎障害の発症・進展に大きく関与するが、本研究ではインシュリン抵抗性肥満モデル動物であるZucker obese(Z-O)ラットにおける微小循環調節機構の変化が将来の腎障害へ進展する可能性を目的とした。【方法・結果】Z-Oラットにおいて腎微小循環異常の有無を検討した。方法は当研究室で行っているisolated perfused hydronephrotic kidneyを用いた。正常ラットにおいてノルエピネフリンによって収縮した腎輸入・輸出細動脈は、インシュリンの生理的濃度(e.g.,10μM)で拡張を示した。この血管拡張はZ-Oラットで減弱していた。さらに内皮機能の異常の有無を検討するために、アセチルコリンの拡張作用を検討した結果、Z-Oラットで減弱していた。加えて、Z-Oラットでの輸入細動脈による収縮を検討したが、正常ラットで見られる腎灌流圧の上昇に伴う収縮は、Z-Oラットでは著明に減弱していた。この圧による収縮反応の減弱はインシュリン抵抗性改善薬の前処置(1-2週間)で改善した。【考案】インシュリンが糖代謝をコントロールするのみならず、腎微小血管のトーヌスをもコントロールしており、その機序として血管内皮から一酸化窒素を遊離させることが明らかとなった。インシュリン抵抗性が存在すると、輸入細動脈では筋原性反応の減弱により全身血圧の糸球体への伝達がおこり、輸出細動脈ではインシュリンによる拡張作用の低下により輸出細動脈のトーヌスの上昇が起こることが推定される。したがって、インシュリン抵抗性状態における輸入・輸出細動脈の病態は、ともに糸球体内圧を上昇させる方向に働き、糸球体硬化病変を誘導する可能性が考えられた。また、インシュリン抵抗性改善薬による腎微小血管反応性の回復は、肥満・耐糖能異常に伴う腎障害の予防薬となりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hayashi K,et al.: "Altered myogenic responsivenss of the renal microvasculature in experimental hypertension" Journal of Hypertension. vol14. 1387-1401 (1996)
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[Publications] Hayashi K,et al.: "Effects of insulin on rat renal microvessels" Kidney International. vol51(in press). (1997)
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[Publications] Hayashi K,et al.: "Restoration of insulin sensitivity ameliorates myogenic afferent arteriolar reactivity in obese Zucker rats." J American Society of Nephrology. vol7. 1581 (1996)