1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671299
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
富野 康日己 順天堂大学, 医学部, 教授 (60130077)
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Keywords | IgA腎症 / IgA・IgA免疫複合体 / メサンギウム細胞 / FcαR / FcRγ鎖 / splicing form / 分子的会合 |
Research Abstract |
本邦の原発性糸球体腎炎のなかで、最も高頻度に認められるIgA腎症は、その発症機構に関しては未だ十分に解明されていない。糸球体メサンギウム領域に沈着しているIgA・IgA免疫複合体(IgA-IC)が、直接腎炎を惹起しているのか否かも明らかではない。この背景をふまえ、FcRの立場からIgA・IgA-ICのIgA腎症における役割を検討した。今年度の当研究費により、培養メサンギウム細胞(MC)に発現するIgAのレセプターであるFcαRの性質を解析した。その結果、MCに発現するFcαRは、骨髄球系細胞で報告されているものと塩基配列上完全に一致し、さらに、その結合ドメインの欠落するsplicing formが存在することも確認した。MCにおけるFcαRのmRNA発現は、我々が作製したbinding siteを認識している抗ヒトFcαR抗体刺激により増強された。また、高濃度凝集IgA刺激下においてMC上のFcαRは、シグナル伝達分子であるFcRγ鎖と分子的会合をすることを初めて証明した。つまり、MC上に発現するFcαRは、多量体のIgAあるいはIgA-ICにより架橋されることで発現を増強し、同時にFcRγ鎖と分子的会合をおこすということを示唆している。このことは、IgA・IgA-IC(特に、多量構造をとるものほど)が、FcαRを介して直接MCを活性化できることを意味し、IgA腎症の病態生理を考えるうえで極めて重要である。事実、IgA腎症の腎生検から得られるIgAは、主として多量体でることは興味深い。今後は、IgA腎症患者のFcαRの発現パターン(サブユニット構成のパターン)を、患者サンプルをもとに解析を進める他、シグナル伝達分子であるFcRγ鎖ノックアウトマウスを用いFcR全般の腎炎における役割、すなわち抗体や免疫複合体が、FcRを介してどの様に腎炎を始動させるかを明らかにし、IgA腎症発症の解明に役立てる予定である。
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