1996 Fiscal Year Annual Research Report
新生児低酸素性虚血性脳障害におけるアポトーシスによる神経細胞死
Project/Area Number |
08671316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 春生 京都大学, 医学研究科, 助手 (80189571)
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Keywords | 新生児低酸素性虚血性脳障害 / アポトーシス / 神経細胞死 |
Research Abstract |
アポトーシスはプログラムされた生理的な細胞死である。近年このアポトーシスが虚血、興奮アミノ酸過剰などにより成熟脳においても誘導されることが示されてきた。新生児仮死(新生児低酸素性虚血性脳障害)においてアポトーシスによる細胞死がどのように関与しているのかを新生児低酸素性虚血性脳障害ラットモデルを用いて検討した。生後6日令のウイスター系ラットを用いて、片側総頚動脈を二重に結紮し切断した。2時間の回復時間をおき、8%酸素の低酸素負荷を2.5時間かけた。この低酸素負荷開始後3、6、12、24、72時間にラットを10%ホルマリン固定した。脳をパラフィンで包埋し、6ミクロンの薄切片を切り出した。HE染色を行い、形態的にアポトーシス及び脳障害の評価をした。またアポトーシスの指標となるDNAフラグメンテーションをTUNEL法(terminal deoxynucleotidyltransferase(TdT)-mediated dUTP-biotin nick end-labeling)により検出した。本法は、DNAフラグメンテーションにより新しくできた3′-OH DNA末端をTdTとDigoxigenin-nucleotideで標識し、Peroxidaseで発色させる手法を用いた。低酸素負荷開始後3、6時間には、HE染色では核濃縮がみられるが、TUNEL法では陽性細胞はみられなった。12時間後よりTUNEL法で総頚動脈結紮側に陽性細胞を認めるようになり、24時間では陽性細胞の数が増加し、さらに72時間後では陽性細胞を多数認めた。以上により、新生児低酸素性虚血性脳障害においてアポトーシスによる神経細胞死の関与が示唆され、その経時的変化も示された。
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