1997 Fiscal Year Annual Research Report
胎児赤芽球を用いた出生前DNA診断における胎児細胞と母体細胞の識別
Project/Area Number |
08671321
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Research Institution | Kitasato University School of Medicine |
Principal Investigator |
大谷 文雄 北里大学, 医学部, 講師 (30104540)
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Keywords | 出生前DNA診断 / 胎児赤芽球 / HLAタイピング / PEP法 |
Research Abstract |
胎児の出生前DNA診断に、母体末梢血中に混入してくる胎児赤芽球を使用する場合、極微量しか採取できない胎児赤芽球の中に母体由来の細胞が混入していないことを確認することが不可欠である。そのためには、実際に採取した細胞由来のDNAを遺伝的多型の大きな遺伝子でタイピングし、母体と胎児の遺伝型の違いから両者を識別する必要がある。 本研究では、顕微鏡下でシングルセルマニュプレーション法で精製した一個の細胞よりDNAを調製し、そのDNAを遺伝的多型の大きなHLA抗原型タイピング法により識別する方法を開発することを目的とした。 一個の細胞からのDNAの調製法は、アルカリ融解法による粗精製のみとし、この際の総液量を5μl以下に抑えることが必要である。このDNAにランダムな塩基配列を持つ15merの合成DNAをプライマーとして加え、50サイクルのPCRを行う。このPCRにより単一細胞由来のDNAの全領域が約50倍程度に増幅されるものと期待される。増幅されたDNAの半量をHLAタイピング用に、他の半分をDNA診断用に取り分ける。HLAタイピング用の試料にはHLA-DRB1遺伝子増幅用のプライマーを加え、PCRにより増幅する。増幅の結果はアガロースゲル電気泳動で確認する。実際にこの増幅を行うと60%以上の確率でHLA-DRB1遺伝子の増幅が単一電気泳動バンドとして確認される。他の場合には増幅の結果がスメア-状の泳動パターンとなるが、タイピング上は問題無い。増幅されたDNAを最終的にもう一度通常のHLAクラスIIタイピング法でPCRし、SSP法でタイピングする。SSP法のタイピングには通常のリバースドット法とマイクロプレート法の双方を使用したが、どちらの方法でも、予想されたHLA抗原型が検出確認された。
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