1996 Fiscal Year Annual Research Report
GCP症候群の相同疾患マウスにおける多指症/無嗅脳症の発症メカニズム
Project/Area Number |
08671325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成瀬 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20113326)
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Keywords | GCPS / 多指症 / 無嗅脳症 / Gli3 |
Research Abstract |
遺伝性多指症/無嗅脳症マウス(Pdn/Pdn)の責任遺伝子がGli3であることが判明してきた。Gli3遺伝子は、マウス染色体No.13A2-3にある。この領域は、ヒトの7番染色体短腕と相同領域である。ヒト染色体No.7p13には、Greig cephalopolysyndactyly syndrome(GCPS)がマップされていて、その責任遺伝子はGLI3である。GCP3は鼻根部が広く、両眼の間隔が広く、額の張り出した特異的顔貌を持ち、大頭症(水頭症)、手足の多合脂症も示す。Gli3およびGLI3遺伝子は高いホモロジーを持ち、DNAレベルで69%、アミノ酸レベルで82%一致している。両者は、よく似た表現型を示すことから、相同疾患と考えられる。この事から、今まで調べてきたPdn/Pdnマウスの発症メカニズムを、ヒトのGCPS患者の発症メカニズムに外挿できるのではないかと考えた。そこで、多脂症や無嗅脳症の発症の出発点に、どのようにGli3遺伝子が関わっているかを調べることを本研究の主目的とした。 Pdn/Pdnマウスにおける無嗅脳症発症の出発点は、胎生12日に嗅神経線維が終脳に接着しないことにあることが、従来からの研究で明らかになってきた。正常マウス胚では、嗅神経線維は頭部間充識の中を通って胎生12日に終脳の吻腹側に接着する。この線維の接着と浸入が終脳から嗅球を誘導するらしいことを解ってきた。このことを詳細に解析するために、lipophilicな蛍光色素のDiIを胎仔の鼻腔に注入し、嗅神経線維の中枢への遡上を調べ、正常マウスでは、胎生12日に嗅神経線維が終脳に接着し、13日以降には嗅球原基に線維が浸入し、嗅球の嗅神経層を形成している像を認めた。一方、Pdn/Pdnでは嗅神経線維が浸入せず、髄膜内に線維の塊を形成していた。また、嗅神経線維は頭部間充識の中を終脳に向かって遡上するが、正常マウス胎仔では、その間充識細胞にGli3遺伝子が強く発現してたが、Pdn/Pdnでは発現が弱いかネガティブであったことをin situ hybridization法で明かにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Naruse I.,Keino H.& Taniguchi M.: "Surgical manipulation of mammalian embryos in vitro" Int.J.Dev.Biol.41(in press). (1997)
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[Publications] Naruse I.,Keino H.& Taniguchi M.: "Fetal laser surgery exo utero in mice" Cong.Anom.36. 107-113 (1996)
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[Publications] Naruse I.,Keino H.: "Apoptosis in the developing CNS" Progr.Neurobial.47. 135-155 (1995)
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[Publications] Naruse I et al.: "Industion of arhinencephaly using fetal laser surgery exo utero in mice" Neurosci.Protocols. 3・2. 1-11 (1995)
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[Publications] Naruse I et al.: "The arrest of lutain izing hormone-releasing hormone neuronal migraltion in the genetic arhinencephalic mouse enbryo(Pdn/Pdn)" Dev.Brain Res.81. 178-184 (1994)
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[Publications] Naruse I.Keino H.& Kawarada Y.: "Antibody against single-stranded DNA detects both programmed cell death and durg-induced apoptosis" Histochemistry. 101. 73-78 (1994)
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[Publications] 成瀬一郎,慶野裕美: "アポトーシスの分子機構と病態" 内海耕造,井上正康編,メディカルトリビューンブックス,アクセルシュプリンガー出版, 126(7) (1996)
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[Publications] 成瀬一郎: "アポトーシス研究の最前線" 実験医学増刊、羊上社, 238(5) (1995)