1996 Fiscal Year Annual Research Report
移植された人工血管における治癒過程の免疫組織学的検討
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08671346
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浦山 博 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (40151948)
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Keywords | 人工血管 / 移植 / 免疫組織染色 / 吻合部内膜肥厚 / Dacron / Polytetrafluoroethylene / 増殖因子 / MMP (Matrix metalloproteinase) |
Research Abstract |
人に移植された人工血管の免疫組織学的検索を再手術や剖検時に取り出されたDacronやPolytetrafluoroethyleneを用いて行った。H-E染色、elastica Van Gieson染色、アザン染色に加えて、細胞とマトリックスの同定のためにα-アクチン、マクロファージ、von Willebrand因子、フィブリン、エラスチン、コラーゲンI-V、プロコラーゲン、CD3、CD20に対する免疫染色を行った。また、増殖因子(PDGF,FGF,TGFβ)、サイトカイン(IFNγ)、プロテアーゼ(u-PA,MMP1,MMP2,MMP9)および細胞増殖マーカーであるKi-67に対する抗体を用いて免疫染色を行った。増殖因子等に対して陽性である細胞は二重染色により細胞の同定を行った。移植後5-24日の人工血管吻合部内面は血栓で覆われ、吻合部以外の内面は所々に血栓の付着を認めた。血栓にはマクロファージが進入し、PDGF、MMP、Ki-67に対して免疫染色陽性であった。移植後11-148カ月の人工血管吻合部はいわゆる内膜肥厚を呈しており、平滑筋細胞とコラーゲンが主たるものであった。吻合部内面は一層の内皮細胞が覆っているか、もしくはフィプリンの薄い層にて覆われていた。内膜肥厚の厚さは移植後11-36カ月のものと移植後94-148カ月もので差は認められなかった。吻合部位外の内面は血栓やコラーゲンと線維芽細胞に覆われているが、所々では人工血管の線維が露出していた。平滑筋細胞、線維芽細胞にはMMP陽性のものを認めたが、PDGF、Ki-67に対して陽性のものは認めなかった。コラーゲンは主としてIII型であり、また、吻合部にはエラスチンも認めた。人工血管周辺の組織にマクロファージやT cellを認めたがB cellは認めなかった。
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