1997 Fiscal Year Annual Research Report
MUC-1分子の腫瘍抗原性の解析と遺伝子導入併用養子免疫抗癌治療への応用
Project/Area Number |
08671356
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Research Institution | SHIGA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE |
Principal Investigator |
井上 修平 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30273402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 弘文 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20111974)
岡田 慶夫 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (10106825)
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Keywords | MUC-1分子 / 腫瘍抗原性 / 抗腫瘍免疫応答 / 遺伝子導入 / 抗癌免疫治療 / 臨床応用 |
Research Abstract |
1)MUC-1遺伝子導入細胞株の作成と、その抗腫瘍免疫誘導能(腫瘍抗原性)の検討 当科にて乳癌患者より樹立したMUC-1欠損乳癌細胞株にMUC-1cDNAを遺伝子導入しMUC-1強発現株を得た。この遺伝子導入株の腫瘍抗原性を解析するために、同株を標的細胞として患者末梢血リンパ球による腫瘍細胞傷害活性を測定した。MUC-1欠損親株に対しては認められなかったが、MUC-1発現遺伝子導入株には強い腫瘍細胞傷害が認められた。 2)MUC-1特異的細胞傷害Tリンパ球(CTL)の誘導樹立とそのキャラクター解析 1)で作成したMUC-1遺伝子導入株を患者末梢血リンパ球と共培養することにより、腫瘍特異的CTLを誘導樹立した。このCTLの表面マーカーを調べたところ、CD3/CD4陽性TCRαβ保有Tリンパ球であることがわかった。 3)CTLの抗原特異性とその認識構造の解析 CTLの抗原特異性を検討するために1)と同様にMUC-1遺伝子導入株に対する腫瘍細胞傷害試験を行った。MUC-1欠損親株には無反応であったが、遺伝子導入株に対しては強い細胞傷害を示した。同時に抗MUC-1抗体添加による細胞傷害抑制試験を行ったところ、強い抑制効果が認められた。 4)B7、IL-12などのCTL機能増強効果 強いB7-1分子を発現しているNZK-mucは同時に誘導CTLの分裂増殖を促進した。他のMUC-1発現細胞株による刺激では、CTL誘導はできたものの分裂増殖には至らなかった。またCTL誘導に際し、IL-12を添加するとCD8陽性CTLへの分化誘導が促進された。 5)MUC-1分子を標的とし、遺伝子導入を併用した養子免疫療法の臨床応用を検討する。 現在、サイトカイン遺伝子導入によるCTL機能増強のための準備段階に入っている。すなわちヒト Tumor Necrosis Factor-alphaとInterferon-gamma遺伝子をレトロウィルスベクターに組み込んだコンストラクトを作成中である。
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