1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性動脈硬化症に対するバイパス手術の長期閉存性に関する研究-分子生物学的臨床生化学的および医用電子工学的検討
Project/Area Number |
08671367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉本 貴樹 神戸大学, 医学部, 助手 (80263375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正人 神戸大学, 医学部, 助手 (70243318)
岡田 昌義 神戸大学, 医学部, 教授 (70030856)
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Keywords | グラフト流量 / 抹消動脈血流 / 内皮由来血管収縮因子 / 拡張因子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.ドプラー超音波診断装置(7.5MHz)による未梢動脈血流経時的変化:新しい血流評価法として、下肢/上肢血流速度・血流量比を測定した。血行再建術を施行した34肢において、足背動脈、後脛骨動脈の流速波形を測定し、これより収縮期平均流速(MSV)、収縮期最大流速(PSV)、収縮期平均血流量(MFV)を計測した。続いて上腕動脈でも同様に計測し、それぞれの下肢/上肢の比をm-AVI、p-AVI、m-AFIとして計測した。血行再建術前後でankle pressure index(API)が平均0.55から0.77へと上昇したのに対し、m-AVIは平均0.35から0.93へ、p-AVIは平均0.25から0.80へ、m-AFIは平均0.06から0.13へと上昇した。しかし、APIが高値(0.90以上)であるにも関わらず、Fontaine分類II度以上であった症例では、m-AVI,p-AVIが0.75以下を示し、末梢flowの不良な症例であることが考えられた。逆にAPIが低値であるにも関わらず、Fontaine分類I度であった症例では、m-AVI,p-AVIが高値を示した。この結果より、新たな指標であるm-AVI,p-AVIは従来のAPIより臨床所見に相関することが示唆された。 2.虚血末梢動脈血での術前後の内皮由来血管収縮因子(ET-1)、拡張因子(NO2、NO3)の経時的変化:上記対象肢において、重症虚血肢(FontaineIII,IV度)では術前ET-1が有意に高値を示し、血行再建術後早期に低下する傾向を示した。一方、NO2、NO3値が術前高値を示した症例では、血行再建術後1週間目に正常に復した。しかし、NO2、NO3値の再上昇と共に、AVI,AFIが低下し、グラフト流量も低下した事実から、血行再建術後のfollow-up指標としてのNO2、NO3値の意義が示唆された。今後、さらに検討予定である。
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