1996 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植における慢性拒絶反応に対する抗ドナー抗体の除去
Project/Area Number |
08671391
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
河合 達郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40186044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 正浩 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90246538)
|
Keywords | 腎移植 / 抗ドナー抗体 / 慢性拒絶反応 |
Research Abstract |
腎移植における慢性拒絶反応はB細胞が産生する抗ドナー抗体など、humoral immunityが大きく関与していると思われるが、われわれは腎移植後の抗体の推移をflowcytometryによりretrospectiveに検討し、現在までに62人のレシピエント(移植腎機能不良群32人、良好群30人)を対象に抗ドナー抗体を解析した。その結果、移植腎機能不良群では全例でドナーのB cellに対するIgG抗体が現時点で陽性であったのに対して、腎機能良好群では全経過を通じて陰性であった。これらの知見を基に、本研究では、移植後1年以上を経過した腎移植患者で移植腎機能が進行性に悪化している症例を対象に、抗B cell抗体の除去を目的として、1回750ml、3回(または2回)を1ク-ルとしてDouble Filtration Plasma Pheresis(DFPP)を施行した。一部の患者では、さらにこの血漿交換に加えて、15-deoxyspergualin(5mg/kg)の3日間連日投与をおこなった。 これまでに腎移植慢性拒絶反応の12症例に対してdouble filtration plasma pheresis(750ml/回、2〜3回交換)を施行し以下の結論を得た。1)血清クレアチニン5mg/dl以下の患者8名中6名については血漿交換以前に認められた進行性の腎機能悪化を最低3カ月以上安定させることができた(現在なお経過観察中であるが4名は6カ月以上を経過しても腎機能の悪化を認めていない)。クレアチニンが5mg/dl以上であった4名では1例において一時的な箸効がみられたが、最終的には全例において血液透析が再導入された。今後DFPPによる血漿交換の効率、併用する薬剤の有効性など検討していく予定である。
|