1997 Fiscal Year Annual Research Report
Nitric oxideと酸素ラジカルによる臓器障害発症の機序に対する研究
Project/Area Number |
08671400
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
米倉 竹夫 近畿大学, 医学部, 講師 (00258021)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 元博 近畿大学, 医学部, 助手 (00278681)
宮本 正章 近畿大学, 医学部, 講師 (50229895)
保木 昌徳 近畿大学, 医学部, 助手 (40278685)
窪田 昭男 近畿大学, 医学部, 講師 (10161671)
大柳 治正 近畿大学, 医学部, 教授 (00030958)
|
Keywords | nitric oxide / 酸素ラジカル / 虚血再灌流 / 臓器障害 / oxidant stress / 組織血流障害 / 循環障害 / グルタチオン |
Research Abstract |
[目的]虚血再潅流障害の発症にnitric oxide(NO)とoxidant stressが相互にどのように作用しているかを,i)腸管虚血再灌流の慢性期における酸化ストレス,組織障害の変化などを急性期腸管虚血再灌流モデルと比較検討する,ii)肝部分虚血再灌流モデルを作成し虚血再灌流肝および非虚血再灌流肝の組織障害および組織内のラジカル産生量を検討した.[方法]i)急性期モデル:Wistar系雄性rat(250g-350g)を用い,腸管の30分虚血,60分の再潅流を行った.虚血10分前にNO合成酵素阻害剤であるL-NAME(10mg/kg),NOの前駆物質であるL-Arg(300mg/kg)を静注投与した.対照として生食(5ml/kg)を投与した.ii)慢性期モデル:上記の各群の虚血再潅流後,各群にL-NAME(20mg/kg/h),L-Arg(600mg/kg/h)および乳酸化リンゲル液の持続静注を5日間行った.iii)これらモデルにおける血清中の還元型・酸化型グルタチオン濃度,血中過酸化脂質,乳酸・ピルピン酸濃度の測定を行うとともに,組織障害の程度を検討した.iv)肝部分虚血再灌流モデル:Wistar系雄性rat(250g-350g)を用い,肝分葉の虚血再灌流を行うことによる肝部分虚血再灌流モデルを作成した.虚血10分前にNO合成酵素阻害剤であるL-NAME(10mg/kg),NOの前駆物質であるL-Arg(300mg/kg)を静注投与した.対照として生食(5ml/kg)を投与した.虚血再灌流肝および非虚血再灌流肝の組織障害および組織内のラジカル産生量を検討した.本研究を通じNOが生理的な状態のみならず,虚血再灌流時のように酸素ラジカルが過産生されるような病態下でも組織血流の維持に重要であることが明らかとなった.一方慢性の虚血再灌流障害モデルにおいては,NOの前駆物質を投与すると逆に死亡率は高くなった.さらに虚血再灌流後の長期ではアポトーシス細胞の出現が多く認められた.肝部分虚血再灌流モデルでは非虚血再灌流肝においても組織内酸化ストレスは増強していた.
|