1998 Fiscal Year Annual Research Report
Neutrophil Kinetics制御による急性膵炎重症化阻止の試み
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08671404
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 和憲 東北大学, 医学部, 講師 (20171639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂村 眞琴 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10201584)
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Keywords | 急性膵炎 / 微小循環 / 白血球 / 血管内皮 / FoY |
Research Abstract |
微小循環系では血流速度の低下に伴い、白血球の血管内皮細胞への接着が認められる.Pセレクチンなどの血管内皮における接着分子の発現により白血球のrolling現象が惹起され、続いて内皮上に発現されたICAM-1などのイムノグ口プリンスーパーファミリーや白血球やリンパ球表面に発現の強まるMac-1、LFA-1などのインテグリンファミリーが相互に反応し、白血球の内皮へのadherenceが誘発されることが報告されてきた.セルレイン膵炎モデルでは病理学的な検討では浮腫性の変化が主体であり、壊死性変化はほとんど認められない.おもしろいことに膵周囲の脂肪組織の血管にはこのモデルにおいても白血球の接着が認められた.急性膵炎の組織学的検討で指摘してきたとおり、膵周囲に壊死性変化が強いことを考えあわせると壊死性変化に白血球が関与している可能性が疑われる.教室では胆汁酸を主膵管に注入したラット壊死性膵炎モデルを作製し、生体顕微鏡システムを用いて膵微小循環を観察している.このモデルにおいては、Rhodamine6Gで染色した単核球の血管内皮への接着が主に膵集合静脈を中心に観察された.さらにこの接着は細胞内在型phospho1ipase A2 阻害剤(IS-741)によって有意に抑制されていた.この時の白血球表面に発現するMac-1をフローサイトメトリー法により定量化したところ、Mac-l 陽性白血球の割合は膵炎惹起後経時的に増加し、3時間後では約3.5倍に達している.IS-741投与群ではMac-1発現の増加は約1.5倍に留まった.in vitroの検討ではIS-741は血管内皮におけるICAM-1の発現には影響を与えないことが指摘されており、IS-741の作用はMac-1をdown regulationさせた結果であると考えている.
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