1996 Fiscal Year Annual Research Report
再発肝細胞癌の多中心性発生の診断とその治療方針-分子生物学的手法を用いて
Project/Area Number |
08671429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
長堀 薫 山梨医科大学, 医学部, 講師 (00137035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 政徳 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80242642)
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Keywords | 肝細胞癌 / 多中心性発癌 / 再発 / 肝内転移 / 治癒切除 / nm23遺伝子 / HBV-DNA |
Research Abstract |
〈目的〉肝細胞癌(以下、肝癌)の再発には多中心性発癌(以下、MC)と原発巣からの転移(以下、IM)が含まれる。両者を鑑別して病態を検討した。 〈対象と方法〉単結節型肝癌の治癒切除116例を対象とした。男女比は82対34、平均年齢が60.3歳、平均腫瘍径が3.4±2.1cmであった。MCは病理組織学的判定に加え、本研究の主眼である分子生物学的(HBV-DNA組み込み、PGK遺伝子のheterogeneity、p53遺伝子の変異)に判定した。nm23-H1遺伝子の原発巣での発現を免疫組織染色した。 〈結果〉再発パターン:症例の2年と5年の累積生存率は83.5%,61.6%であった。再発は53例で肝外再発が8例、肝内再発のみが45例で内、単発が22例、残肝多発が20例、断端が3例であった。MCの頻度:再発巣の組織を採取しえた37例中、MCが16例、IMが15例で、病理組織学的な判定が25例、分子生物学的手法でのみ判定可能が6例(HBV-DNA:3例、PGK遺伝子:2例、p53遺伝子:1例)であった。IMの危険因子:IMと無再発例とを比較した重回帰分析の結果、再発率には組織学的分化度(低・未>高・中)、im陽性が寄与した(p<0.05)。MCとIMの比較:nm23-H1遺伝子の発現は無再発例(n=14),MC(n=14),IM(n=13)の内、各8(57%),9(64%),5(38%)例に陽性で、IMで発現が低かった。再切除13例中、MCとIMは各々12例と1例であった。50%平均生存期間はMCとIMで各々63.0±3.9,24.0±4.5か月(いずれもp<0.001)とMCが良好であった。 〈結論〉1.単結節型肝癌治癒切除後も高率に再発し判定可能例の51%がMCであった。2.IMに限った再発の予知因子は分化度、imであった。3.MCは再発までの期間が長く再切除率が高く治療成績が良好であった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 長堀 薫: "肝切除術の基本手技" 外科治療. 75(3). 253-262 (1996)
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[Publications] 長堀 薫: "破裂肝細胞癌に対する肝切除成績とその再発形式" 肝臓. 38(3)(in press). (1997)
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[Publications] 長堀 薫: "骨転移を伴なう全肝多発性肝細胞癌の1例" Liver Cancer. 3(1)(in press). (1997)
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[Publications] 長堀 薫: "安全な肝切除術の確立にむけて" 山梨医学. (in press). (1997)
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[Publications] Okamoto H: "Usefallness of Ultrasonography in mass screening for breast cancer" Jpn J Cancer Res. 87. 317-323 (1996)
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[Publications] 井上 慎吾: "乳腺アポサリン癌の1例" 日本臨床外科医学会雑誌. 57(8). 1896-1899 (1996)
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[Publications] Nagahori K: "2^<nd> World Congress HPB Association" A.Cauallari Edi.Monduzzi Editore, 6 (1996)
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[Publications] 長堀 薫: "肝臓病 Up date-GVH.肝細胞癌、C型肝炎" 三田村圭二編.南江堂(in press), (1997)