1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671441
|
Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
竹山 宜典 神戸大学, 医学部, 助手 (70263374)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 裕一 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
上田 隆 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
|
Keywords | 急性膵炎 / アポトーシス / 臓器障害 |
Research Abstract |
本研究では、急性膵炎における臓器障害の発症機構へのアポトーシスの関与を解析し、その分子機構を明らかにすることを目的として研究を実施し、平成8年度には、ラット壊死性膵炎の肝、腎、胸線にアポトーシスが存在し、このモデルで貯留する腹水を正常ラツトの腹腔に投与すると肝、腎にアポトーシスが生じることを確認した。培養細胞を用いた解析では、急性膵炎腹水が時間・用量依存性にアポトーシスを誘導することを証明した。以上の結果を受けて、平成9年度には以下の解析を行った。 1.アポトーシス誘導因子の解析 アポ-シス誘導因子として、TNF-α、TGF-βの中和抗体のアポトーシス誘導に対する効果を解析したところ、TNF-αの中和抗体にはアポトーシス阻止効果は見られなかったが、TGF-βの中和抗体は、急性膵炎ラットにおける肝細胞のアポトーシスを抑制し、膵炎腹水のラット初代培養肝細胞に対するアポトーシス誘導を部分的に阻害した。 2.アポトーシス誘導機構の解析 アポトーシス誘導に関わる細胞内因子として、Interleukin-1 converting enzayme(ICE)およびICE様プロテアーゼに注目し、それらの阻害剤を用いて解析を行ったところ、ICE様プロテアーゼ阻害剤が、急性膵炎ラットにおける肝細胞のアポトーシスを抑制し、膵炎腹水のラツト初代培養肝細胞に対するアポトーシス誘導を阻害した。 以上の解析から、重症急性膵炎では、遠隔臓器の構成細胞にアポトーシスをきたすことが証明され、それが本疾患における多臓器障害に関与する可能性が示された。さらに、急性膵炎腹水中には、アポトーシス誘導活性が存在し、その一部にTGF-βが関与することも確認された。また、このアポトーシス誘導はICE様プロテアーゼを介して作動していることも判明し、今後この分子機構をさらに解析し、その治療法の開発につなげる予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 西川淳介, 竹山宜典: "急性膵炎における臓器障害とアポトーシス" 胆と膵. 18・1. 41-44 (1997)
-
[Publications] 西川淳介, 竹山宜典: "重症急性膵炎における多臓器障害とアポトーシス" 外科治療. 77・1. 1-7 (1997)
-
[Publications] 竹山宜典, 山本正博: "急性膵炎の重症化とアポトーシス" 消化器外科. 20・5. 617-623 (1997)
-
[Publications] 新海政幸, 竹山宜典, 他: "Inhibitory Action of Sphingosine or Ceramide on Amylase Secretion from Isolated Rat Pancreatic Acini" Biochem Biophys Res Commun. 235. 197-200 (1997)
-
[Publications] 山本正博, 竹山宜典, 他: "臨床侵襲学" 小川道雄,斎藤英昭編(へるす出版), 680 (1997)