1996 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスを指標としたヒト胃癌ならびに大腸癌の悪性度判定に関する研究
Project/Area Number |
08671443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
牧野 正人 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (90229344)
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Keywords | 大腸癌 / 悪性度 / apoptosis / apoptotic index |
Research Abstract |
apoptosisはprogrammed cell deathとよばれ生態のhomeostasisの維持,分化に関与するのみならず,癌細胞においてもapoptosisが発生することが報告されている.また,われわれは以前,術前5FU投与がなされた胃癌・大腸癌症例においては癌細胞apoptosis発生が術前化学療法を受けなかった対照群に比し有意に増強されることを示した.今回,大腸癌組織でのapoptosisの発現が癌の悪性度を反映するものか否かについて検討した.(患者・方法)1986年から1990年に経験した大腸癌切除症例症例104例において大腸癌細胞のapoptotic cell deathをterminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP-biotin nick end labeling(TUNEL)法を用いパラフィン切片を染色し,癌細胞1,000個を数え,核が染色された癌細胞をapoptosis細胞として数えapoptotic indexとして算出した.また,連続切片を作成し,p53,Ki-67を免疫組織学的に染色しその発現とapoptosisとの関連を検討した.癌細胞1,000個を数え,Ki-67に核が染色された癌細胞をKi-67 labeling indexとした.(結果)apoptotic indexは全症例で平均4.52±1.53(1.9-9.7)であった.apoptotic indexは進行度がすすむにつれ減少しDukes AではDukes B,C,Dに比し有意に高かった(P<0.05).中分化型腺癌のapoptotic indexは高分化型腺癌より低くまた,リンパ節転移陽性例は陰性例より,静脈侵襲陽性例は陰性例より低いapoptotic indexを示した(p<0.05).またapoptotic index低値群と高値群で症例を分け検討するとapoptotic index高値群の予後は低値群に比して有意に良好であった(p<0.05).(結論)apoptotic indexは大腸癌症例における有用な予後因子のひとつとなりうると考えられる.
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