1997 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭、食道切除後の再建臓器に関する基礎的、臨床的研究(特に除神経の影響について)
Project/Area Number |
08671446
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
丹黒 章 山口大学, 医学部, 助教授 (10197593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 弘人 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60218592)
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Keywords | 再建胃管 / 消化管ホルモン / 内圧 / 消化管シンチグラフィー / 迷走神経切離 |
Research Abstract |
術後再建胃管の病態 食道切除後、迷走神経切離の状態で引き上げられた胃管について以下の検討を行った。 1)内圧測定:術直後(術後約1-2カ月)は飲水による喉頭波は食道上部括約筋の弛緩を引き起こすが吻合部以下の胃管自体の律動的な弱い蠕動波を認めるものの規則的な蠕動波の伝導は認めなかった。慢性期(術後6カ月以上経過)には咽頭から頚部食道、弱いながら胃管への蠕動運動の連動を測定出来るものを認めた。また、外因性ガストリンの投与は胃管の強収縮運動を引き起こした。胃管自体の蠕動波の状態は迷走神経切離状態というだけでなく、後縦隔や胸骨後部ルートの周囲への癒着やスペースの制限によるものも影響している可能性があると考えられた。 2)胃管内pH測定:術後急性期(第一病日から)にも安静時胃管内pHは酸性を示した。慢性期における胃管内のpHの変動を24時間pHモニターにより観察したところ酸性からアルカリ性にわたる多様なpHを示した。このpHの変化は食物摂取や体位により変化していた。このことから迷走神経が切離されているにもかかわらず、胃酸分泌は保たれてていること、幽門の逆流防止機構破綻による十二指腸液の逆流が頻発していることが示唆された。 3)消化管シンチグラフィー検査では咽頭、頚部食道、胃管へのスムースな通過状態を認めたが健常対照群よりは胃停滞時間は短かった。にもかかわらず愁訴として停滞感を訴えるものを認めた。 4)消化管ホルモンの測定:流動物負荷前後のガストリン、CCK、セクレチンの分泌は健常人と同様ピークを持つ分泌曲線を描いた。分泌反応は健常人に比して低値であった。急性期に健常人に比して多いガストリン分泌を示すものもあった。測定値は現在統計処理中である。
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