1997 Fiscal Year Annual Research Report
大線量X線照射による膵・胆道癌細胞の細胞死機序とその促進方法の研究
Project/Area Number |
08671457
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水元 一博 九州大学, 医学部, 助手 (90253418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 医学部, 教授 (30163570)
志村 英生 福岡大学, 医学部, 助教授 (80178996)
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Keywords | 膵癌 / X線照射 / アポトーシス / 放射線増感 |
Research Abstract |
我々は、これまでヒト培養膵癌細胞株に30GyのX線を照射すると、蛋白合成を必要とする能動的細胞死であるアポトーシスがおこることを見いだしている。また、エトポシドは、アポトーシスをもたらす代表的は薬剤であり、ヒト膵癌細胞株に対しても、アポトーシスによる細胞死をもたらす。そこで、この2つのアポトーシスをおこす刺激を同時に膵癌細胞に加えて、細胞死促進効果を検討した。細胞死はトリパンブルー色素排除試験によった。大線量X線照射による細胞死は、同時投与ではエトポシドの濃度によらず増加しなかった。次に、0.5μMの低濃度エトポシドを24時間前に投与した後に30GyのX線照射をおこなって細胞死を観察した。照射単独では4日後に51.8%の死細胞をみとめ、エトポシド低濃度前処置では65.1%と有意な細胞死の増加がみられた。フローサイトメトリーによって細胞周期の変化について検討をしてみると、大線量X線照射では、ほとんど全ての細胞群がG_2M期へ集積しており、高濃度のエトポシドでもG_2M期への集積がみられた。0.5μMのエトポシドを投与すると、24時間後には47.5%の細胞がS期へ集積していた。これらの結果から、エトポシドの前投与によって細胞周期をS期へ集積させることで、膵癌に対する術中照射の効果を促進させることが可能で、今後の臨床治療上考慮されるべき重要な知見と思われた。
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Research Products
(2 results)