1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト固型癌における腫瘍内染色体数的異常の臨床病理学的検討とその臨床応用
Project/Area Number |
08671487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
吉雄 敏文 東邦大学, 医学部・第一外科, 教授 (80057497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博志 東邦大学, 医学部・第一外科, 助手 (60207909)
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Keywords | 大腸癌 / 染色体数的異常 / FISH(Fluorescence in situ hybridization) / 腫瘍内異質性 |
Research Abstract |
1.研究内容の総括 ヒト固型癌の異常増殖から発ガン,増殖,浸潤,転移に至るまでに、int-2,erb-B,c-myc,fos,p53,nm23,DCCなどの癌関連遺伝子の関与が明らかとなり、臨床の場においてもflow cytometryによる核DNA量と腫瘍のもつ生物学的悪性度をはじめ、免疫染色や分子生物学的手法を用いた検討が盛んに行われる様になって来た。そこで今回我々は、腫瘍内の核DNA量の増量と減少に注目して、FISH(Fluorescece in situ hybridization)法を用いて癌関連遺伝子の存在する各染色体について、その量的異常と臨床病理学的因子との関係並びに臨床的意義について検討を加えることとした。すでにこの検討は、各腫瘍についての報告が国内,外で行われているが、我々の目的は、通常のパラフィン固定組織切片を用いて、先述した内容の他に腫瘍内の染色体数の異質性についても検討を加えたいと考えている。 2,現在の進行について 当初、予備実験で良好な成果が得られたと判断され、比較的円滑に実験が進むであろうと考えていたが、データの再現性に問題があると考えられた。つまり、固定組織切片が故の腫瘍核の重積性によって、データに誤差が生じてくる可能性があるということである。これを如何に克服するかについて、染色程度の悪いものの計測からの除外、あるいは染色技術のさらなる向上の二点が必要とされ、染色技術の改良に努めている。この問題点が克服されると、染色体数のみならず従来報告されてきた癌関連遺伝子や、免疫染色との腫瘍核増殖関連抗原との相関が同一腫癌細胞核の中でより正確に判断されることとなり、連続切片の評価をさらに感度の良いものに仕上げることが可能と考えられる。尚、今回上述の問題点につき論文発表の成果に至らなかった。
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