1996 Fiscal Year Annual Research Report
ミスマッチ修復異常による消化器癌発生機構の解析:標的遺伝子を中心とした検討
Project/Area Number |
08671488
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 和紀 東邦大学, 医学部, 助教授 (60130374)
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Keywords | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / microsatellite instability / RER / TGF-βRII遺伝子 / IGFIIR遺伝子 / TGF-β情報伝達系 |
Research Abstract |
1)RERの検討 37例の散在性および2例の家族性大腸癌患者の癌部、非癌部のDNAを抽出し、7種類のmicrosatellite markerを用いて、microsatellite instabilityの有無及び頻度を、2箇所以上でmicrosatellite instabilityが認められた例をRER(+)と定義して検討した。その結果、散発例6例でRER(+)であった。 2)TGF-βRIIおよびIGFIIR遺伝子上のmicrosatellite領域の変異の検索 細胞増殖抑制に関係する遺伝子のうち、タンパク転写領域中にmicrosatellite instabilityの標的配列である(GT)や(A)等の繰り返し配列の存在が知られているtranforming growth factor-β receptor type II (TGF-bRII)およびinsulin-like growth factor II receptor (IGFIIR)について、上記、6例のRER腫瘍を中心にこれら遺伝子のmicrosatellite領域の変化を検討した。その結果、1例の1対立遺伝子でTGF-βRII遺伝子の(A)_<10>領域に変化が見出されたが、TGF-βRII遺伝子の(GT)領域やIGFIIRでは全く変化は見い出されなかった。更に、RERを示さない症例でも、これら遺伝子のmicrosatellite領域に変化は見い出されなかった。したがって、RER腫瘍6例のうち、TGF-b情報伝達系に異常のある腫瘍は多くとも1例であった。また、これら6例のうち、hMLH1遺伝子発現のない腫瘍が2例見い出された。これらの結果から、散発性大腸癌では、ミスマッチ遺伝子に異常があるにも関わらず、TGF-β情報伝達系に異常のある腫瘍の頻度はかなり低いと考えられた。 3)今後の検討課題 症例数を増やし、RER腫瘍におけるTGF-β情報伝達系の異常の頻度を更に正確に算出すると共にミスマッチ修復遺伝子を欠損しているヒト大腸癌細胞株を用いた実験モデル系を確立し、TGF-β情報伝達系とミスマッチ修復遺伝子欠損との関わりを明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 逸見仁道: "ヒト神経芽腫細胞株におけるミスマッチ修復遺伝子産物hMSH2及びhMLH1の発現" 小児がん. 34(印刷中). (1977)
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[Publications] Koike,J.: "Immunoblot analysis of mismatch repair proteins,hMSH2 and hMLH1,in PER-positive colorectal cancer." Dis.Colon Rect.(in press). (1977)