1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミスマッチ修復異常による消化器癌発生機構の解析:標的遺伝子を中心とした検討
Project/Area Number |
08671488
|
Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 和紀 東邦大学, 医学部, 助教授 (60130374)
|
Keywords | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLHタンパク / hMSH2タンパク / RER / microsatellite instability / 標的遺伝子 / TGF-β情報伝達系 / BAX遺伝子 |
Research Abstract |
1)ミスマッチ修復蛋白hMSH2およびhMLH1発現の検討 60例の散発性大腸癌患者の癌部および非癌部におけるhMSH2およびhMLH1蛋白発現を我々の開発した抗体を用いたWestern blot法にてRER検索に先だって検討した。その結果、蛋白発現の殆どない症例がhMSH2で6例、hMLH1で3例見い出された。 2)RERの検討 上記60例のうち50例の癌部、非癌部よりDNAを抽出し、hMSH2およびhMLH1蛋白異常発現症例を中心にRERを検討した。microsatellite markerは、前年度までに検討に用いた8種のうちから検出頻度の高い4種と欧米で多く用いられて1種の合計5種を用いた。その結果、11例のRER(+)腫瘍を見い出した。ミスマッチ修復蛋白異常例9例中8例でRER(+)であった。 3)標的遺伝子のmicrosatellite領域の変異の検索 上記50例の腫瘍DNAを用いて、transforming growth factor-β receptor type II(TGF-βRII)およびinsulin-like growth factor II receptor(IGFIIR)ならびにBAX遺伝子のmicrosatellite領域の変化を検討した。これまでのところ、TGF-βRII遺伝子やIGFIIR遺伝子上での変化は全く見い出されていない。このことから、今回検索した散発症例ではTGF-βRIIやIGFIIR遺伝子の異常が発癌の初期段階で関与している可能性は少ないと考えられた。 4)今後の検討課題 更に、症例数を増やし標的遺伝子の異常頻度を正確に算出するとともにRER腫瘍の検索法についても検討する予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 逸見仁道: "ヒト神経芽腫細胞株におけるミスマッチ修復遺伝子産物hMSH2及びhMLH1の発現" 小児がん. 34. 23-27 (1997)
-
[Publications] Koike,J.: "Undetectable expression of hMLH1 protein in sporadic colorectal cancer with replication error phenotype." Dis.Colon Rect.40. S23-S28 (1997)
-
[Publications] 岩崎維和夫: "cisplatin耐性神経芽腫細胞株の樹立とミスマッチ修復遺伝子hMSH2およびhMLH1タンパクの発現" 小児がん. 35. 印刷中 (1998)
-
[Publications] 岩崎匡洋: "散発性大腸癌におけるDNA修復遺伝子発現異常の解析" Vita. (印刷中). (1998)