1996 Fiscal Year Annual Research Report
術中虚脱肺における組織障害因子の発現と防止法に関する研究
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08671510
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
由岐 義広 山形大学, 医学部, 講師 (80241694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大泉 弘幸 山形大学, 医学部, 助手 (40250930)
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Keywords | サイトカイン / 分離肺換気 / 顆粒球エラスターゼ / 肺障害 |
Research Abstract |
分離肺換気による肺の虚脱再膨張にともなうサイトカインの経時的変化を知ることにより、肺への障害にサイトカインが関与しているか否かについて検討し、適正な肺の換気法を検討するために以下の方法で検討した。 【対象と方法】 分離換気麻酔下に手術を施行する肺癌患者に対して以下の手順で採血を行い、顆粒球エラスターゼを測定した。 対象:術側肺の10分毎の頻回換気群6例 採血の方法:開胸前に末梢動脈血採血、以下開胸時より閉胸時まで30分毎に末梢動脈血及び術側肺静脈血を採血し第1病日、第3病日に末梢動脈血採血を行った。 測定方法:顆粒球エラスターゼ測定キットを用い、マイクロプレートリーダーによる吸光度測定を行った。 【結果】 1.末梢動脈血採血の結果、術前値に比較し顆粒球エラスターゼ値は経時的に上昇し開胸後60分で最高値となり、120分で最低となるが第1病日で最上昇を認めた。 2.肺静脈採血の結果、末梢動脈血と同様に経時的に上昇し開胸後60分で最高値となった。 以上の結果より、分離肺換気による肺の虚脱再膨張が顆粒球エラスターゼ産生に関与している可能性があると考えられた。また肺の虚脱再膨張が侵襲となり肺の生態防御反応(肺水腫などの肺障害)が惹起される可能性があると考えられた。
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