1996 Fiscal Year Annual Research Report
血液接触型人工臓器における血小板機能障害発現機序の解明とその制御法に関する研究
Project/Area Number |
08671521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷 一浩 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (80263010)
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Keywords | 体外循環 / ヘパリンレコーティング体外循環 / Nafamostant mecilate / 血小板GPIb / 血漿Glycocalicin / TAT / PIC / PET1+2 |
Research Abstract |
1,体外循環下開心術の臨床例において人工心肺使用による凝固線溶径の変化を観察した。凝固系分子マーカーであるthrombin/antithrombinIII complexとprothrombin fragment Fl+2は体外循環の時間経過と共に血中濃度が有意に増加し、線溶系分子マーカーであるα2plasmin inhibitor/plasmin complexにおいても体外循環により血中濃度が有意に増加し、凝固系および線溶系が活性化されているものと考えられた。 2,血小板表面の接着分子であるGPIbとその分解産物である血漿Glycocalicinの体外循環による変化を観察した。GPIbは体外循環の時間経過とともに血小板表面の発現量が減少したが、血漿Glycocalicinは増減が認められなかった。 3,体外循環中、nafamostat mesilateを投与して凝固線溶系に対する効果を検討した。thrombin/antithrombinIII complexの変化をみるとnafamostat mesilate非投与例と投与例で差が無い一方、α2plasmin inhibitor/plasmin complexの変化をみるとnafamostat mesilate投与例では有意に体外循環中の増加が抑制された。 4,ヘパリンコーティングされた体外循環回路で凝固線溶系および血小板の上記パラメーターの変化を観察した。thrombin/antithrombinIII complex,prothrombin fragment F1+2,α2plasmin inhibitor/plasmin complexは体外循環中の増加が非コーティング回路使用例に比し有意に抑制され、GPIbは体外循環中の減少が認められなかった。
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