1997 Fiscal Year Annual Research Report
血液接触型人工臓器における血小板機能障害発現機序の解明とその制御法に関する研究
Project/Area Number |
08671521
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷 一浩 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (80263010)
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Keywords | 体外循環 / 血小板膜表面糖蛋白 / GPIb / ヘパリンコーティング / ずり応力下血小板凝集率 |
Research Abstract |
1.模擬体外循環回路として、閉鎖式の血液リザーバーとチューブを組み合わせ模擬回路を作成し、ヒトより採取したヘパリン化血を用いてローラーポンプで回路内を循環させ、血小板およびその膜糖蛋白におこる変化を観察した。回路の血液接触面の材質として、塩化ビニル表面未処理のものと、塩化ビニルの表面ヘパリンコーティング(DurafloII処理)の2種類を作成し、模擬回路での体外循環の時間経過に伴う血小板の変化の比較を観察した。 2.血小板数は模擬回路での体外循環開始後漸減した。non-coating群とheparin-coating群での比較では有意差は認めなかった。 3.高ずり応力下血小板凝集率は体外循環開始後漸減した。non-coating群とheparin-coating群での比較では有意にheparin-coating群で凝集率の低下が抑制された。 4.von Willebrand factor活性は、体外循環開始後5分の時点で最低値を示し、non-coating群とheparin-coating群での比較では有意差は認めなかった。 5.血小板表面の接着分子であるGPIbは体外循環開始後漸減した。non-coating群とheparin-coating群での比較では有意にheparin-coating群で発現量の減少が抑制された。 6.血小板内でのGPIbの局在をみるため、膜骨格成分と細胞骨格成分に分離しWestern blottingでGPIbを測定した。non-coating群ではGPIbの膜骨格成分から細胞骨格成分への移行が顕著にみられ、heparin-coating群ではGPIbの膜骨格成分から細胞骨格成分への移行は有意に少なかった。
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