1996 Fiscal Year Annual Research Report
超低体温下における循環停止法の安全性確保に関する実験的検討
Project/Area Number |
08671522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森 渥視 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80026971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 昭一郎 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30283568)
渡田 正二 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90191816)
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Keywords | 脳虚血 / 低体温 / スナネズミ / 虚血性神経細胞死 / 脳保護 / アストログリア / GFAP |
Research Abstract |
虚血性神経細胞死には、激しい障害によって神経細胞が急激に死ぬ壊死(necrosis)と、虚血に対して特に脆弱な神経細胞のグループが、より軽度の障害によって急性の死を免れても数日〜数週間後に死に至る遅発性神経細胞死(delayed neuronal cell death以下DNDと略す)とが存在する。これまで我々は、一貫して超低体温循環停止法における脳保護に関する研究を続けてきており、スナネズミ前脳虚血モデルを作成し、低体温によって海馬CA1領域のDNDが抑制できることを組織学的に確認していた。今回、同モデルを用いて、虚血性神経細胞障害時における神経細胞周囲のグリア細胞の変化を観察した。GFAP免疫染色を用いて、アストログリアを観察し、この組織のGFAP陽性率(アストログリアの面積比)の画像解析装置によって解析した結果、虚血障害を加えたモデルの脳ではGFAP陽性率が高い(アストログリアが肥大化)ことを確認した。アストログリアは、一般的に神経保護作用を持つといわれている。またその陽性率は脳に加わった虚血障害の程度と正の相関を示した。虚血時低体温の導入によって、このGFAP陽性率は、ある程度の低下をみるが、完全にコントロール(非虚血手術群)レベルまでは低下しなかった。このことは、低体温環境下においてもアストログリアは、虚血障害に反応して肥大化し得る事とともに、低体温処理によってDNDは妨げるものの、アストログリアの肥大化を必要とするような脳への虚血障害を完全には防ぎ得ていない可能性を示していると考えられた。
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