1997 Fiscal Year Annual Research Report
超低体温下における循環停止法の安全性確保に関する実験的検討
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08671522
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森 渥視 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80026971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 昭一郎 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30283568)
渡田 正二 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90191816)
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Keywords | 脳虚血 / 低体温 / 超低体温循環停止法 / 脳保護 / 免疫組織化学 / 遅発性神経細胞死 / 胸部大動脈瘤 / クリア細胞 |
Research Abstract |
実験的検討として、32℃から20℃の段階的低体温下に種々の時間、虚血侵襲を与え、海馬CA1領域の錐体細胞の組織学的な変化および海馬領域でのグリア細胞の反応について観察した。スナネズミ前脳虚血モデルを用い、5分から120分間両側総頸動脈を遮断した。組織学的検討は虚血あるいはシャム手術後7日目に行った。海馬CA1領域の錐体細胞の遅発性神経細胞死(以下DNDとす)を評価するためにクレシルバイオレット染色とMAP2免疫染色を用いた。またアストロサイトの反応を見るためにGFAP免疫染色を、マイクログリアの反応を観察するためにイソレクチンB4組織染色を用いた。32℃10分間あるいは28℃20分間の前脳虚血では、CA1領域にDNDは起こらなかった。しかし32℃20分間あるいは28℃30分間の虚血では、CA1領域の錐体細胞に高度の変性が起こった。超低体温下においては、24℃60分間あるいは20℃120分間という、今回の実験系においてそれぞれの温度で動物が生存しうる最長の虚血時間を負荷してもCA1領域にDNDは起こらなかった。アストロサイトの反応性の変化は虚血後DNDが起こった動物だけでなく、虚血侵襲を与えたにもかかわらずDNDが誘導されなかった動物の海馬全体において観察された。これに対し反応性マイクログリアの分布は、虚血後DNDが発生した動物のCA1領域に限局して観察された。これらの実験結果は、超低体温法の著明な神経保護効果を示している。また低体温下においても、グリア細胞の反応は虚血侵襲後の神経細胞の生死の過程に重要な役割を果たしていることを示唆している。 またこの超低体温法を臨床例における循環停止中の脳保護法として使用し、胸部大動脈瘤手術などを施行し、さらに縦隔悪性腫瘍の拡大手術にも応用し、良好な結果を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuhiko Nakajima: "Morphological investigation of the neuroprotective effects of graded hypothermia after diverse periods of global cerebral ischemia in gerbils" Brain Research. 765. 113-121 (1997)
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[Publications] 野島武久: "胸部大動脈瘤手術における逆行性脳灌流法の脳保護効果と灌流条件に関する検討" 日本低体温研究会会誌. 17(1). 18-24 (1997)
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[Publications] 渡田正二: "逆行性脳灌流法を用いて弓部大動脈、肺動脈を再建した浸潤型胸腺腫の1手術例" 薬理と臨床. 7(7). 17-18 (1997)