1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋保護のメカニズムに関する単一心筋細胞レベルでの解析
Project/Area Number |
08671523
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伴 敏彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (00173120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野間 昭典 京都大学, 医学研究科, 教授 (00132738)
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Keywords | Na-Kポンプ / Na^+-Ca^<2+>交換 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
心筋保護液は心臓外科領域における開心術で広く用いられているが、我々は細胞レベルでの心筋保護作用のメカニズムを解明することを目的とし、今回は細胞内Ca^<2+>濃度の調節と心筋保護液の関係について検討した。実際には、モルモット心をコラゲナーゼ処理し、単一心筋細胞を単離し、これにパッチクランプ法を適用し、全細胞膜電流を記録した。 多くの心筋保護液にはMg^<2+>が高濃度で用いられているので、まず、単一心筋細胞にMg^<2+>を最高20mM/Lで与えたところ、Na-Kポンプ電流やNa^+-Ca^<2+>交換電流に著明な変化を認めることはなかったが、Ca^<2+>電流を濃度依存性に抑制することが解った。高Mg^<2+>はCa^<2+>の排出機構を抑制することなく、Ca^<2+>流入を抑制する事によって、心筋細胞内Ca濃度を低く保つのに役立っていると考えられた。心筋保護液はまた通常低温で用いられているが、低温下ではNa-Kポンプの活性は著しく抑制を受ける。Na-Kポンプの抑制は細胞内外のNa濃度勾配の減少を介して、Ca^<2+>の排出機構であるNa^+-Ca^<2+>交換の抑制をもたらすと考えられている。そこで、Na-KポンプとNa^+-Ca^<2+>交換との関係を実験的に調べるため、両者の電流を同時に単一心筋細胞から記録した。まず、外液Kイオン非存在化にNa^+-Ca^<2+>交換電流を記録した後、細胞外にKイオンを与えてNa-Kポンプを活性化したところ、Na^+-Ca^<2+>交換電流の外向き電流の振幅が、時間と共に減少した。Na^+-Ca^<2+>交換電流の逆転電位の変化はNa-Kポンプ電流の時間積分から計算したイオンの移動電荷量に関係づけることができた。Na-KポンプとNa^+-Ca^<2+>交換が細胞内のNa^+とCa^<2+>イオン濃度変化を介して、クロストークしていることが定量的に証明された。
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[Publications] Wang Z.,Mitsuiye T.& Noma A.: "Cell distension-induced increase of the delayed rectifier K+current in guinea pig ventricular myocytes" Circ.Res.78. 466-474
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[Publications] Takano M.,& Noma A.: "Development of the muscarinic potassium current in tetal and neonatal rat heart" Am.J.Physiol. (in press).
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[Publications] Guo J.,Ono K.,& Noma A.: "Monovalent cation conductances of low-threshold and sustained inward current in rabbit sinoatrial node cells" Pflugers Archiv. (in press).
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[Publications] Guo J.,Mitsuie T.& Noma A.: "The Sustained Inward Current in Sino-Atrial Node Cells of Guinea Pig Heart" Pflugers Archiv. (in press).