1997 Fiscal Year Annual Research Report
心臓血管内視鏡による自己弁温存大動脈茎節基礎の評価
Project/Area Number |
08671532
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Research Institution | Saga Medical School |
Principal Investigator |
伊藤 翼 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10110496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 光三 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (20217623)
夏秋 正文 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (90075557)
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Keywords | 心臓血管内視鏡 / 大動脈弁 / 大動脈基部再建 / Remodeling法 |
Research Abstract |
1.正常大動脈弁の開閉動態 (1)実験方法 雑種成犬を用いた。全身麻酔下に、心筋保護液にて心停止を得て心臓、胸部大動脈を一塊として摘出した。無名動脈より、透明な人工栄養液であるTyrode液を80cmH_2Oの圧で大動脈に潅流し、また、左心房に15cmH_2Oの圧で潅流し、心拍動モデルを作製した。左鎖骨下動脈より内視鏡を挿入し、大動脈弁を観察した。その開閉動態をハイスピードビデオ(200frames/second)に記録した。記録したビデオの解析には、MacSCOPEを用い大動脈弁の開放面積と心電図、大動脈圧との関連を検討した。 (2)実験結果 大動脈弁の開放は、大動脈圧の上昇の開始と同時に始まった。また、最大開放面積を示した時相は、大動脈圧が最大値を示した時点より早期であり、大動脈圧が最大の時には既に、大動脈弁の閉鎖は始まっていた。この結果をコントロールデータとした。 2.Remodeling後の大動脈弁の開閉動態 (1)実験方法 上記と同じ実験方法にて行った。ただし、心臓、胸部大動脈を摘出後、臨床で行われているRemodeling法と全く同じ方法で、人工血管を用い大動脈基部再建を行い、その時の大動脈弁の観察、検討を1-(1)と同様に行った。 (2)実験結果 大動脈弁の開閉動態のパターンは、ほぼ1-(2)と同様であった。ただ、大動脈弁の最大開放は、大動脈圧が最大値を示した時点であった。以上の結果より、大動脈基部再建法としてのRemodeling法は、大動脈弁機能の温存という点で有用な術式であると考えられた。その大動脈弁開閉動態が正常と若干の違いがでた理由は、人工血管にてバルサルバ洞が置換されたためと考えられるが、その意義に関しては不明である。その解明のためには、今後の更なる循環と弁動態の基礎研究が必要である。
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[Publications] 伊藤翼ほか: "大動脈基部疾患の再手術" 日本外科学会雑誌. 99(2). 123-128 (1998)
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[Publications] 古川浩二郎ほか: "バルサルバ洞・大動脈管接合部の拡大に大動脈弁閉鎖不全の原因と成り得るか?実験モデルの作製と予報" 心臓病学会雑誌. (印刷中).
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[Publications] K.Furukawa et al: "Does Dilatation of Sinotubular Junction Cause Aortic Regurgitation?-Experlmental Evaluation with Divecv Imeging" Cavdiovaswlav Surgery. Vol.5 Suppl.1. 117 (1997)
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[Publications] 古川浩二郎ほか: "大動脈基部の拡大に大動脈弁閉鎖不全の原因と成り得るか?-心拍動下での観察を含めて" 日本胸部外科学会雑誌. Vol.45 Suppl.1351 (1997)