1998 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロキメリズムの移植免疫寛容における意義および寛容導入への応用に関する研究
Project/Area Number |
08671534
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
鬼塚 敏男 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60108595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関屋 亮 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00206640)
松崎 泰憲 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (90190446)
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Keywords | microchimerism / heart transplantation / rat / origin / skin transplantation / tolerance |
Research Abstract |
移植後にレシピエント中に認められる微量のドナー由来の細胞の由来解析、及び皮膚生着との関連を目的として以下の群について検討を行った。 Group1(G1):致死量(15Gy)の放射線照射を行った後、同系雄骨髄細胞で再構築された雌LEW.1Aの心臓を無処置の雌LEW.1Aに異所性心移植を施行。移植心が2ヶ月以上生着したラットから移植片を摘除し、4ヶ月間放置。引き続いてこのラットを1.0×105個の同系雄樹状細胞で感作し、2週間後、同系雄ラットの皮膚を移植。Group2(G2):controlとして無処置の雌LEW.1Aを1.0×105個の同系雄樹状細胞で感作し、2週間後、同系雄ラットの皮膚移植を施行する群を作成した。ドナー心からレシピエントの体循環に移行した細胞(MCPB)の動態をY染色体上の性決定遺伝子(SRY)に対する特異的プライマーを用いたPCR法によって心移植後2週間毎に解析した。 G1では、移植後8週間目の時点で8/9例がMCPBを維持しており、移植心摘出後、徐々にMCPBは減少傾向にあったが、2/9例は移植心摘除後16週間にわたって安定してMCPBが検出された。このことより、MCPBは骨髄細胞由来で比較的寿命の長い細胞であることが示された。さらに、G1において、移植心を摘除後16週間でMCPBが消失した7匹は♂LEW.1Aの樹状細胞の感作により、G2群と同様に同系雄の皮膚を拒絶した。しかしながら、移植心を摘除後16週間にわたってMCPBが検出された2匹は♂LEW.1Aの樹状細胞で感作したにもかかわらず、100日以上にわたってオスの皮膚移植片を受容し、H-Y抗原に対して免疫寛容状態であることが示された。 なおin situ PCRについては、現在至適測定条件の設定を行っており、本年度は、ミクロキメリズムを構成する細胞の同定までには及ばなかった。
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