1997 Fiscal Year Annual Research Report
グルコース輸送蛋白、糖転移酵素遺伝子発現と転移に関する研究
Project/Area Number |
08671544
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小川 純一 秋田大学, 医学部, 教授 (20112774)
|
Keywords | グルコース輸送蛋白 / シアル酸転移酵素 / フコース転移酵素 / シアリルルイスX / 予後 / 肺癌 |
Research Abstract |
悪性腫瘍では一般にグルコース代謝が亢進している。肺癌におけるグルコース取り込み増加の意義を調べる目的で、切除標本を用いてグルコース輸送蛋白遺伝子(GLUT1,3)のPCR増幅、グルコース輸送蛋白・増殖細胞核抗原(PCNA)・シアリルルイスX(SLeX)の免疫組織染色を行った。またGLUTとSLeX合成に関与するシアル酸転移酵素(ST)、フコース転移酵素(Fuc-T)との関係をみるためにST、Fuc-T遺伝子のPCR増幅も併せて行った。対象は1980年から1993年までに外科的治癒切除を行った肺癌327例である。 結果 1.ヒトST、Fuc-T遺伝子は各々5種類が同定されているが、SLeX染色の程度とST、Fuc-T遺伝子増幅の関係からSLeXの合成にはそのうちST3N、Fuc-TVIIが最も強く関与していた。 2.GLUT1増幅の頻度はGLUT3よりも有意に高く、グルコースの取り込みにはGLUT1の方がGLUT3よりも重要であると考えられた。GLUT1、GLUT3増幅はPCNA染色の程度と相関していたが、SLeX染色の程度はGLUT1のみと相関していた。 3.GLUT1遺伝子はST3N、Fuc-TVII遺伝子と共増幅していた。 GLUT1遺伝子増幅例の予後は非増幅例よりも有意に不良であり、GLUT1は多変量解析においても有意の予後因子であった。 以上よりグルコース取り込みに関与するGLUT1は細胞増殖に加えてSLeX合成にも関係しており、その増幅は肺癌において予後因子になり得ると推察された。
|
-
[Publications] OGAWA J: "Glucose transporter type I gene amplification correlates with Sialyl LewisX synthesis and proliferation in lung cancer" International Journal of Cancer. 74. 189-192 (1997)
-
[Publications] OGAWA J: "α-2,3-Sialyltransferase type 3N and α-1,3-Fucosyltransferase type VII are related to sialyl LewisX synthesis and patient survival from lung carcinom" Cancer. 79. 1678-1685 (1997)