1997 Fiscal Year Annual Research Report
高操作性を有し超高度抗血栓性ポリマーによる冠状動脈用合成人工血管の開発
Project/Area Number |
08671550
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Research Institution | TOKYO WOMEN'S MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
毛井 純一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60142494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
館林 孝幸 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60236560)
兼安 秀人 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40185955)
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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Keywords | 小口径人工血管 / 抗血栓性ポリマー / 冠動脈用合成人工血管 / ミクロ相分離構造 |
Research Abstract |
抗血栓材料2-hydroxyethyl methacrylate-styrene block copolymer(以下HEMA-stと略す。)は、その親水疎水型のミクロ相分離構造により極めて優れた抗血栓性を示すことが明らかにされているが、弾性に乏しく人工血管の縫合性に劣り、また内面コーティングされたHEMA-stの損傷などにより長期の開存がえられず、広く実用されるに至っていない。今回弾性性を改善した抗血栓材料2-hydroxyethyl methacrylate-octylstyrene block copolymer(以下HEMA-octと略す。)を開発し、それをコーティングした小口径人工血管を作成した。その吻合操作性と抗血栓性を検討し、冠動脈代用血管としての適合性を評価した。≪冠動脈バイパス実験≫結果1. 8-28日の観察期間で3頭の内、2頭で開存が得られた。移植後平均流量は3-100ml/minであった。また血管の縫合性は格段に向上しており縫合操作は容易であった。結果2. 光顕像では、一部中枢側及び末梢側吻合部の動脈内幕に一部内幕損傷が有り同部より血栓が形成されていた。結果3:操作電顕像 中枢側吻合部では大腿動脈内膜の一部より血栓形成を認める。人工血管中央部では、僅かに球状の血小板の付着を認めるのみで、優れた抗血栓性を保っていた。またコーティング層に、ひび割れなどの剥離像は認めない。【結論】HEMA-stに比しHEMA-octは、格段に縫合性が向上し、非常に良好であった。冠動脈バイパス実験では、3頭中2頭の開存が得られた。HEMA-octは、ex vivoの検討では、HEMA-stとほぼ同等の抗血栓性を有しており、長期的な開存が得られると考えられ、操作性の格段の向上により冠動脈代用血管としての実用化が期待される。
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