1997 Fiscal Year Annual Research Report
冠微小血管内皮細胞を用いたno-reflow現象の発生機序と治療に関する研究
Project/Area Number |
08671551
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大谷 肇 関西医科大学, 医学部, 講師 (60168979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加戸 靖 関西医科大学, 医学部, 助手 (00224486)
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Keywords | 心筋再潅流障害 / 冠微小血管内皮細胞 / Na^+ / H^+交換 / 細胞内接着分子 |
Research Abstract |
【目的】近年、心筋再潅流障害の原因として、Na^+/H^+交換の亢進に伴う細胞内Na^+貯留とNa^+/Ca^<2+>交換による心筋細胞内Ca^<2+>過負荷が重要な役割を果たすと考えられているが、とりわけ血管内皮細胞は虚血に対する感受性が高く、再潅流に際して心筋細胞と同様の機序で細胞内Ca^<2+>過負荷に陥ると考えられる。一方、冠微小血管内皮細胞はその傷害に際して好中球接着分子を発現し、心筋再潅流傷害を増悪することが知られている。そこで、冠微小血管内皮細胞を用い低酸素後再酸素加時のNa^+-H^+交換系を介する細胞内Ca^<2+>過負荷の接着分子発現における役割を検討した。【方法】250〜300gのS-D系ラット心筋より冠微小血管内皮細胞を分離し培養した。培養内皮細胞にCa^<2+>示指薬であるfluo-3を負荷し、pH6.7で低酸素環境下においた後、30分間再酸素加した。その間の細胞内Ca^<2+>濃度の変化を蛍光顕微画像解析器を用いて測定した。処置群では、Na^+-H^+交換系阻害薬5-(N-N-dimethy1):amiloride(DMA)0.1mM投与した。また、30分の低酸素環境後、8時間の再酸素加を施行し、intracellukar adhesion molecule 1(ICAM-1)に対するモノクロナル抗体を用いて細胞内接着分子発現状態に及ぼすDMAの影響を検討した。 【結果】低酸素処置及び、再酸素加に伴う細胞内Ca^<2+>の上昇はDMA投与群において非投与群と比較し有意に抑制されていた(p<0.05)。ICAM-1の発現は、虚血直後には認められなかったが、再酸素加8時間後では、DMA非投与群において著明な発現を認めた。これに対しDMA投与群では、非投与群に比しICAM-1発現の抑制が認められた。
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