1996 Fiscal Year Annual Research Report
低体温における脳血流、脳代謝の部位特異的変化の解明
Project/Area Number |
08671560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐古 和廣 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80113736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米増 祐吉 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30038666)
遠山 義浩 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70261419)
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Keywords | hypothermia / cerebral blood flow / glucose metabolism / rat |
Research Abstract |
脳虚血に対する低体温療法中に、大脳皮質と深部核で脳血流の低下に差のあることに着目し、脳血流調節機序の解明を目的に研究を行った。本年度はまず初めに、ウイスターラットの脳の大脳皮質と尾状核に温度センサーを定位的に挿入し、直腸温を37℃に設定し、その後直腸温が30℃になるまで徐々に体温を下げ、直腸温と脳温の関係を検討した。次に、ラットを常体温群(37℃)と低体温群(30℃)の2群に分け、14C-iodoantipyrine,14C-deoxyglucose(14C-DG)オートラジオグラフィー法にてそれぞれ脳血流、脳グルコース代謝を測定した。また低体温群ラットでは、14C-DGの速度定数を求めるため14C-DG投与後、5、10、15、20、25、35、45、60分に断頭し、14C-DGの血中及び脳局所の濃度を求めた。 結果 1.直腸温(体温)と脳温の関係 37℃のおいては、皮質36.7℃、尾状核36.8℃と脳温が若干低く、尾状核に比較して皮質が低い傾向を示し、30℃でも皮質29.3℃、尾状核29.7℃と同様の傾向を認めた。 2.脳血流は低体温により皮質では20.4%の低下であるのに対し、尾状核、視床といった深部核では43%の低下を示した。グルコース代謝は、皮質、深部核それぞれ48.8%、46.0%とほぼ同程度の低下を示した。 3.低体温時のdeoxyglucoseの速度定数は解析中で、低体温時の真のグルコース代謝は上記の値と少し変わると考えられるが、低体温時脳血流とグルコース代謝において、大脳皮質と深部核において解離が認められるということは実証された。低体温時、脳局所の温度差はほとんど無いことより、温度以外の因子がこの解離に関与しており、今後はこの因子の解明を行う予定である。
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