1997 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターを用いた脳血管病変に対する遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
08671575
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永田 泉 京都大学, 医学研究科, 講師 (10198327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 伸一 京都大学, 医学研究科, 講師 (90209916)
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Keywords | アデノウイルスベクター / bFGF / 血管内皮細胞 / 血管新生 |
Research Abstract |
[目的]虚血性血管障害において新生血管による側副血行路形成は重要な役割を担っている。既に動物モデルに於いて血管新生因子の局所投与が血管内皮細胞の増殖・文化を促進し、側副血行路を増加させることが知られているが、in vivo遺伝子導入により一定期間、血管新生因子の持続的発現が得られればさらに高い効果が得られる可能性がある。そこで強力な血管新生因子である塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を発現させる組換えアデノウイルスベクターを構築し、その血管新生効果をin vitroモデルにおいて検討した。 [方法]COS-TPC法を用い、bFGF遺伝子をdriveする組換えアデノウイルスベクターAxCAJSbFGFを構築した。Invitroでヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に感染させ、Western blottingによるbFGFタンパクの発現確認、蛍光抗体法による遺伝子導入効率およびbFGFタンパクの細胞内局在の検討、ELISA法での培養上清中bFGFタンパクの経時的定量、MTT法によるHUVEC増殖能の検討、マトリゲル上におけるHUVECの管腔形成能の定量的検討、を行った。[結果]AxCAJSbFGFを感染させたHUVECに100%の効率で遺伝子導入・18kDhFGFタンパク発現が得られた。強制発現させたbFGFは主にHUVECの核に局在していた。bFGFは分泌シグナルを欠くにもかかわらず、AxCAJSbFGFに感染したHUVECの培養上清中にはbFGFタンパクがreleascされ、day2をピークとして漸減しday8まで認められた。bFGF遺伝子を導入されたHUVECは有意に増殖能が亢進し、機能分化としての管腔形成能が亢進した。[考察]血管内皮細胞の増殖及び機能分化としての管腔形成は血管新生の重要なプロセスであるが、AxCAJSbFGFは極めて高効率に内皮細胞に感染してこれらを促進した。今後in vivoでの効果が検証されねばならないが、以上の結果は虚血性疾患に対する将来的なin vivo遺伝子治療の可能性を示唆するものと考えられた。
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Research Products
(1 results)