1996 Fiscal Year Annual Research Report
難治性てんかんに対する軟膜下皮質多切除の効果についての実験的及び臨床的研究
Project/Area Number |
08671585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 正美 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (90181320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 博亮 山口大学, 医学部, 助手 (50238565)
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Keywords | てんかん / 軟膜下皮質多切除 / 後発射 / グルタミン酸 / 脳血流 / プロトンMRS / 脳波 |
Research Abstract |
近年運動、感覚,言語領野などの切除不可能な皮質に焦点を持つ難治性てんかんに対し、外科的治療として軟膜下皮質多切除(MST)が用いられているが、本法の有効性に関する実験的裏付けは十分なされていない。また臨床面においても、症状の改善よりのみ有効性が示されているが、MST前後での血流、代謝変化に関しては検討されていない。そこで今回我々はMSTの有効性を実験的および臨床的検証すべく研究を行った。まず実験的には、家兎を全麻下に開頭を行い、皮質を50Hz,8mA,10秒間で15回電気刺激し、MST施行群(n=7)と対照群(n=7)で後発射持続時間の差を検討した。その結果MST施行群で後発射持続時間の有意な短縮が認められ、MSTの有効性が電気生理学的に示された。またアミノ酸測定では対照群でグルタミン酸の上昇を認めたが、MST群では上昇が軽度であり、MSTにより興奮性アミノ酸の上昇がやはり抑制されることが示された。組織学的検討ではMSTにより、神経線維のうち水平線維は断裂されているが、垂直線維は温存されている所見が確認された。 臨床的には、現在まで4例に対しMSTを施行した。そして4例ともMST施行後、皮質脳波で明らかな棘波の消失または軽減が認められた。皮質血流に関しては、レーザー血流計を用い2例において測定した。今のところMST施行後、脳血流の低下する傾向が認められているが、さらに今後の検討が必要である。またプロトンMRSにより手術前後での代謝変化も今後さらに検討する予定である。
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Research Products
(1 results)