1996 Fiscal Year Annual Research Report
anoxic depolarizationに対するイオンチャンネルの関与
Project/Area Number |
08671592
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上之郷 真木雄 長崎大学, 医学部, 講師 (40145256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市倉 明男 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (90274654)
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Keywords | 脳虚血 / グルタミン酸 / Anoxic depolarization |
Research Abstract |
【目的】Anoxic depolarization(AD)発現に関する各種イオンチャンネルの関与に関して、in Vivo実験系において検討し、脳虚血損傷におけるイオンチャンネル作働薬の保護作用について考察する。【方法】SDラットに、低血圧+両側内頚動脈閉塞を行い一過性前脳虚血を作成した。両側頭頂葉に骨窓を形成し、硬膜上からpore型Ag-AgCl電極でDC変動を記録した。皮質血流はlaser Doppler法で右頭頂葉骨窓から測定した。虚血時間は右頭頂葉記録でADが出現した場合はAD出現後15分とし、AD非出現時は20分間とした。血流再開後30分間経過観察し、麻酔を覚醒した。体温は37.5℃前後に、側頭筋温は37.0℃前後に維持しその後も2時間は体温を37.5℃以上に保った。7日後ホルマリンで脳潅流固定後脳し、HE染色にて組織学的検討を行った。今年度は非治療コントロール群と非NMDA拮抗剤(DNQX)の効果について検討した。DNQXは虚血開始30分前に30mg/kgを腹腔内に投与した。【結果】(1)右DC記録にてADは非治療群の11/17例およびDNQX群の9/13例に出現。それぞれ非治療AD(+)群、DNQX-AD(+)群としたが、虚血時間は17.5【plus-minus】0.3分、17.9【plus-minus】0.5分であった。右DC記録でのAD非出現例は、非治療AD(-)群、DNQX-AD(-)群とした。(2)虚血15分の血流値(虚血前に対する%)は、必要治療AD(+)群、非治療AD(-)群、DNQX-AD(+)群、DNQX-AD(-)群で11.4【plus-minus】1.2%、16.2【plus-minus】2.7%、7.1【plus-minus】1.1%、11.0【plus-minus】2.3%であり、非治療AD(+)群とDNQX-AD(+)群の間で有意差を認め(P<.02)、逆に非治療AD(+)群とDNQX-AD(-)群の間で有意差を認めなかった。(4)組織検査ではAD(-)群には広範囲の虚血神経細胞損傷を認めなかった。AD(+)例の右頭頂葉では、非治療群の7/11例、DNQX群の8/9例で15分持続するADがみられ、これらの皮質を加えて組織検討を行った。その結果、非治療例の77.8%、DNQX例の52.9%に広範な虚血神経細胞損傷が出現し、両者間 【まとめ】(1)非NMDA拮抗薬により、AD出現の血流閥値が上昇すると思われた。細胞外グルタミン酸濃度上昇が強くAD発現に関与することを示唆すると推測された。(2)しかし、一旦ADが発現した場合、非NMDA拮抗薬は神経細胞損傷を阻止できないものと思われた。
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