1996 Fiscal Year Annual Research Report
悪性グリオーマにおけるマクロファージ浸潤とその意義および臨床応用に向けて
Project/Area Number |
08671594
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
倉津 純一 熊本大学, 医学部, 助教授 (20145296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 秀雄 熊本大学, 医学部, 助手 (70244134)
西 徹 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00264309)
河内 正人 熊本大学, 医学部, 講師 (70178218)
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Keywords | マクロファージ / グリオーマ / 免疫 / 遊走因子 / サイトカイン |
Research Abstract |
私たちはこれまでにグリオーマ細胞培養上清中より単球遊走因子(monocytechemoattractant protein-1:MCP-1)を分離・精製し、その生化学的構造を明らかにした。またその生物学的特性の一つとしてグリオーマ局所におけるマクロファージ浸潤に重要な働きを果たしていることを明らかにし、さらにグリオーマ患者におけるMCP-1の臨床的意義について検討している。MCP-1遺伝子導入により細胞のMCP-1発現の増加とともに,in vovoにおける腫瘍周囲へのマクロファージ浸潤の増加、ならびに腫瘍の増殖が抑制される結果をふまえ、グリオーマ細胞におけるMCP-1発現調節機序について検討した。その結果、TNFやIL-1などある種のサイトカインによりMCP-1のRNAあるいはたんぱくレベルでの発現が強化されることが明らかになった。また、さらにラットグリオーマ細胞へMCP-1遺伝子導入し、導入後のグリオーマ細胞の増殖・浸潤などの生物学的特性の変化をin vitro,in vivoにて観察するために、まずラットグリオーマC6細胞株にカルシウム沈降法にてMCP-1遺伝子の導入を行った。また得られた導入細胞のクローンからMCP-1 mRNAの発現をウエスターンブロット法にて、また培養上清中のMCP-1蛋白をELISA法にて定量した。この結果、MCP-1産生能が増加したC6クローンが得られたが、私たちが期待するだけの活性は得られなかった。しかし新たに遺伝子導入に用いる遺伝子ベクターをより効率的なものに変更することによりよりMCP-1産生能の高いC6クローンを得ることができるが期待され、現在新たなベクターを用いて進行中である。この結果をふまえて、MCP-1によるグリオーマ細胞に対する生物作用についてさらに検討する予定である。
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[Publications] K.Yoshizato,et al: "Increased monocyte chemoattractant protein-1 expression by tumor necrosis factor-α can mediate macrophage infiltration in gliomas." International J.Oncology. 4. 493-497 (1996)
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[Publications] T.Nishi,et al: "High-efficiency in vivo gene transfer using intraarterial plasmid DNA injection following in vivo electroporation." Cancer Reserch. 56. 1050-1055 (1996)
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[Publications] K.Hamada,et al: "Expression of Tissue Factor Correlates with Grade of Malignancy in Human Glioma" Cancer. 77. 1877-1833 (1996)
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[Publications] I.Kutamura,et al: "Intrathecal Chemotherapy with 1,3-Bis (2-chloroethyl) -1-nitrosourea Encapsulated into Hybrid Liposomes for Meningeal Gliomatosis : An Experimental Study." Cander Reserch. 56. 3986-3992 (1996)