1998 Fiscal Year Annual Research Report
TIMPs遺伝子発現複製型ウイルスによる悪性脳腫瘍に対する遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
08671614
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095592)
寺尾 聰 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70276278)
星 道生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00265844)
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Keywords | 脳腫瘍 / 単純ヘルペスウイルス / 浸潤抑制因子 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究では、遺伝子組み換えにより多遺伝子機能を欠損させた複製型単純ヘルペスウイルス(HSV)G207による抗腫瘍効果に、浸潤に関与するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の抑制因子であるTIMP-2を組み合わせ治療効率の向上を試みる。G207は、HSV-1のゲノムがらICP6とICP34.5を不活化させたもので、腫瘍細胞でのみ複製増殖し細胞を障害させることがすでに申請者らによって明らかにされている。G207はまた、抗ウイルス剤であるガンシクロビルに対する高感受性と、39度では複製しないという温度感受性を獲得しており、野性型への復帰も無視できる程度に低率のため臨床応用への安全性も高い。しかし、非常に速い速度で増殖中の腫瘍では、ウイルスの複製増殖が腫瘍の増殖に追い付かず、治療効果が十分に得られなかった。そこで本研究ではTIMP-2を同時に作用させ浸潤を抑制した場合の効果につき検討を行った。本年度は、TIMP-2を発現するプラスミドベースのdefective HSV vectorの作製を行い、各種脳腫瘍細胞においてウイルスの殺腫瘍細胞効果とTIMP2の発現を解析し、reverse zymographを用いて発現させたTIMP2の機能解析を行った。複製可能HSVを感染させるとウイルスそのものにより細胞数が減少するためMMPの発現量は減少するが、TIMP2発現defective particleを同時に感染させることで、MMP活性の抑制が確認された。さらにtranswell chanlberを用いて細胞の浸潤能、および細胞障害程度を定量化した結果、TIMP2発現defective HSV vectorを感染させた場合、両者の相加効果によって、治療効果を最も高められることが確認された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 矢崎貴仁: "変異型ヘルペスウイルスを用いた悪性脳腫瘍に対する複合的遺伝子治療" Congress Insights in Herpes. 2. 8-9 (1998)
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[Publications] Yazaki T: "Combined gene therapy for malignant brain tumors using HSV vector system." Gene Therapy(CSH Lab.). 217 (1998)
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[Publications] 矢崎貴仁: "DMBT-1は新しい腫瘍抑制遺伝子か" Medical Briefs in Brain & Nerve. 8. 7-9 (1998)
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[Publications] 矢崎貴仁: "複製型ウイルスを応用した脳腫瘍の遺伝子治療" Neuro-Oncology. 8. 2-6 (1998)
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[Publications] Nakai Y.et al: "Expression of L1 via a herpes simplex virus vector." Jpn.J.Physiol.48(Suppl). S190 (1998)
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[Publications] Yazaki T: "“Neural Development"" Springer-Verlag,Tokyo, 544 (1999)
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[Publications] 矢崎貴仁: "【脳と神経】分子神経生物科学入門 第4章病態脳腫瘍pp346-353" 共立出版(株), 363 (1999)