1998 Fiscal Year Annual Research Report
先天性水頭症の発生機序解明に関する分子生物学的研究と遺伝子治療の開発に関する研究
Project/Area Number |
08671616
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 潔 順天堂大学, 医学部, 教授 (10112707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 講師 (60200177)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70167229)
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Keywords | CNP / glioma cell line U373 / cGMP / radioimmunoassay / CNPreceptor / 細胞体積 |
Research Abstract |
(1) Cタイプナトリウム利尿ペプチド(CNP)による細胞体積変化の測定 マウスグリオーマcell line U373はCNP receptorの発現を認めない事が,cGMPのRadioimmunoassay法による測定にて明らかになった。CNP receptor遺伝子(GC-B cDNA)を蛋白発現ベクター(pRcCMV)に組み込み,U373に遺伝子導入し,CNP receptorを多く発現している細胞株を確立した。この細胞に更にGFP発現遺伝子を導入した。対象として,U373にGFP発現遺伝子のみを遺伝子導入した細胞を用いた。10^<-5>M CNPを培養液に添加し,細胞の体積変化をレザー焦点顕微鏡を用いて定量した。CNP receptor発現細胞では,CNP添加後30分にて,添加前の体積の約60%まで減少した。更に60分後には約90%にまで回復した。U373ではCNP添加後も細胞の体積変化は認められなかった。 (2) Cタイプナトリウム利尿ペプチド(CNP)による頭蓋内圧の変化 先天性水頭症ラットHTXの頭蓋内圧は平均3.25torr(SD:0.122)であった。脳室内に生理食塩水を注入すると、その直後、頭蓋内圧は平均5.10torr(SD:0.734:peak pressure)となったが、その後、徐々に頭蓋内圧は下降し、30分後には平均3.20torr(SD:0.179)となった。 一方、CNP投与群の頭蓋内圧はpeak pressureをみた後に急速に下降、30分後には平均2.25torr(SD:0.281)まで下降した。この頭蓋内圧の変化を生理食塩水投与群とCNP投与群で比較すると、両者間に絖計学的有意差を認めた。 以上の実験より,CNPは細胞の体積を縮小せしめ,頭蓋内圧を低下させる働きがある事が明らかになった。
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