1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの腱線維芽細胞の張力依存性カルシウムイオンシグナリングの機構解明
Project/Area Number |
08671637
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Research Institution | Gunma University Faculty of Medicine |
Principal Investigator |
白倉 賢二 群馬大学, 医学部, 助教授 (20179047)
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Keywords | カルシウムイオンチャンネル / 張力依存性イオンチャンネル / 線維芽細胞 / ラット / Fluo-3 acetoxymethyl |
Research Abstract |
細胞膜におけるCa^<2+>チャンネルは細胞の最も基本的な刺激応答システムである.一方,ストレッチ体操は運動器疾患に対するリハビリテーションの手段として重要である.本研究はラットの腱に機械的伸張刺激を加え,腱組織内の細胞の反応を観察し,ストレッチ体操の効果を細胞レベルで検討しようとするものである. 屠殺直後のラットの尾から採取した腱を,37℃のM199培養液にfluo3-acetoxymethylを溶解して10μM/mlとした液に60分間浸けて生体染色した.この腱をM199培養液に浸けたまま牽引する装置に装着し,共焦点レザー顕微鏡で観察した.観察は0%,2%,4%,6%stretchで行い,観察し得た18の細胞の変形と細胞内Ca^<2+>濃度の変化を測定した. 測定は細胞の長径,横径,細胞内Ca^<2+>濃度を0%stretchの値を100とした百分率で表した.検定はpaired t-testを用いた.細胞の長径は張力が増すごとに増大し,各値の間で有意差を認めた.横径は張力が増すごとに減少し,各値の間で有為の差を認めた.Ca^<2+>濃度は張力が増すごとに有意に増大したが,6%stretchでは4%よりも低い値を示した. 同様な方法で,共焦点レザー顕微鏡のかわりにARUGUS/HISCA(浜松フォトニクス社製)を用い,Ca^<2+>の経時的変化を観察した.その結果,張力刺激により上昇したCa^<2+>は,時間の経過と共にほぼ直線的に低下するのが観察された. 腱に加えられた伸張刺激が腱の細胞の変形をもたらし,変形は加えられた張力と相関した.細胞はこの刺激に対しCa^<2+>濃度の変化として応答し,周囲の組織に影響を及ぼしていると考えられた.結合組織の伸張刺激に対する反応は,発達した張力受容装置以外に細胞レベルでも存在することが確認された.
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Research Products
(1 results)