1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671640
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道下 和彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90272583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60126133)
織田 弘美 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60101698)
福井 尚志 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251258)
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Keywords | bFGF / TGF / PDGF / IGF / 靱帯 / procollagen mRNA |
Research Abstract |
靱帯の治癒過程における成長因子の発現を観察するために、家兎内側側副靱帯の単純横切モデルを作製し、このモデルを用いて成長因子の発現を免疫染色法により観察した。観察したのは、bFGF、TGF-β1、PDGF-BB、IGF-IIの4種の成長因子であり、靱帯治癒過程におけるこれらの成長因子の染色性の部位的及び強度的な変化を経時的に観察した。 さらにこの結果と、靱帯修復部位におけるI型コラーゲンの産生との関連を検討した。I型コラーゲンの産生は、procollagen mRNAの発現によって律速されると報告されているので、in situ hybridization法によりtype I procollagen mRNAの発現を知り、この結果を成長因子に関する免疫染色の結果と対比させ検討した。この結果、type I procollagen mRNAの発現は4種の成長因子のうちPDGF-BBと経時的、部位的に特に強い関連があることがわかった。この結果は第11回日本整形外科学会基礎学術集会(1996年10月、鹿児島市)で発表した。 これと平行して外因性の成長因子投与による靱帯の修復促進の実験を行った。家兎内側側副靱帯の部分欠損モデルを作製し、靱帯の欠損部に重要な成長因子の一つであるbFGFをフィブリン糊に混入して投与した。 投与量に関する検討を行ったところ、適切な量のbFGFの投与により靱帯の修復を促進しうる可能性があること、しかし投与量が過量の場合、修復の初期には大量の修復組織が誘導されるものの、この成熟はその後むしろ阻害され、最終的な治癒組織の形成は遅延することを知った。この結果は現在、The Journal of American Sports Medicineに投稿中である。
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