1996 Fiscal Year Annual Research Report
外傷、手術後の間接拘縮発症機序の分子生物学的解明と治療法の開発
Project/Area Number |
08671641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山本 晴康 東京医科歯科大学, 医学部・需給授 (10092446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗田 大 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50190864)
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Keywords | 関節拘縮 / 線維化 / 滑膜 / 膝蓋下脂肪体 / 前十字靱帯再建術 / コラーゲン |
Research Abstract |
関節拘縮は全ての関節疾患に合併しうるかつ普遍的最も重篤な関節疾患である。この拘縮のメカニズムを解明するために、今年度は様々な関節疾患の患者から生検材料を採取した。比較検討のためには多くの生検材料を一定の部位から採取することが望ましいと考えられるので、生検材料は関節鏡検査を施行することの多い膝関節より採取することとし、また、膝関節のなかでも関節拘縮に深く関わると考えられている膝蓋下脂肪体部の滑膜を採取した。採取した生検材料は全て液体窒素を用いOCTコンパウンド中に包理し冷結保存した。この中から今年度は比較的均一な症例群と考えられる前十字靱帯再建術前、術後の生検材料について検索を行った。まず膝蓋下脂肪体の線維化の程度を定量化し、術前、術後での線維化の変化を明らかとした。また線維化の程度と臨床成績との関連についても検討を行なった。対象として自家膝蓋腱により前十字靱帯を再建したBTB群12例、半腱様筋腱、薄筋腱を使用したST群14例について、HE染色、Sirius Red染色を施行した。Sirius Red染色を施行したものについてはさらに色素を溶出し、その溶出液の吸光度から各切片中のコラーゲン量を求めた。またコンピューター画像解析から各切片の面積を求め、単位組織中のコラーゲン量を算出し臨床成績との関連を検討した。膝蓋下脂肪体組織中のコラーゲン量は術前15.2±7.0、ST群29.2±8.2、BTB群29.5±18.4μg/mm3であり、前十字靱帯再建術に伴い有意に線維化が進行していた(p<0.01)。臨床成績との関連では、術後運動時の疼痛を訴える症例では有意に線維化が進行しており(p<0.05)、関節組織の線維化と疼痛との関連が示唆された。今後、採取した検体および動物モデルにより、拘縮のメカニズムについて検討を加える予定である。
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