1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチにおける関節離断発生の初期条件の解明とその予防法の開発
Project/Area Number |
08671654
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西岡 淳一 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80115766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 敏夫 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10263055)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 関節破壊 / IgEレセプター / Fc epsilon RII:H107 / ムチランス / 滑膜細胞 / 免疫 / 関節液 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)の関節破壊に関係する因子としてIgEレセプター(Fc epsilon RII:H107)および、その可溶成分(s-IgE-BF)に注目した。平成8年度は破壊が進行してしまった症例について、過去に採取保存してあった血清および関節液におけるs-IgE-BF量の測定と臨床所見、同じ患者の手術時に採取した採取標本におけるIgE-BFの局在性を比較検討した。【結果】慢性関節リウマチ9例(男4例、女5例)でIgE-BFの血清中濃度は平均4.103ng/dl、関節液中濃度は3.88ng/dlであった。コントロール例の血清中濃度の平均は1.576ng/dlで、血清・関節液共に有意に高濃度である(P<0.001)。いずれも関節破壊が進行したものであるが、関節液中濃度が血清のそれよりも上回ったのは1例の女性例のみで、他は血清中の方が高値を示した。これらのレセプターは滑膜細胞中比較的大きい単核細胞の細胞質に蓄積されており核内にはみられなかった。マクロファージ型のいわゆる滑膜A細胞であると思われる。IgE-BFは滑膜の表層から中間層に存在し、関節骨の吸収度の強い離断型(ムチランス型)関節炎の症例に強い沈着が認められた。関節破壊が中程度以下の比較的に軽い関節の滑膜組織では、IgE-BFの局在そのものが染色されない。 これまで、慢性関節リウマチ患者の組織を用いた細胞由来のIgEレセプターの検討を行ってきた。関節液中のレセプターの測定、関節内組織の分布等免疫組織学的にも研究を維持できる状態であった。ところが今年度になって、市販されている抗IgEレセプター抗体の活性が不調になり、回数を重ねてもうまくゆかなくなった。過去にも一度、同様の経過があり研究を一時中止にして新しい抗体の作成を要したことがあり、今回も同様であると考えられる。新規に実験計画を練り直す必要性が生じた。
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