1996 Fiscal Year Annual Research Report
ウサギ骨壊死モデルによる骨壊死の病因・発生機序の解明
Project/Area Number |
08671657
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松井 稔 大阪大学, 医学部, 助手 (20238950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 伸彦 大阪大学, 医学部, 助手 (70273620)
増原 建作 大阪大学, 医学部, 講師 (90238915)
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Keywords | 大腿骨頭壊死症 / 微小循環障害 / 血清病 / 免疫複合体 / 動物モデル |
Research Abstract |
【目的】我々は、馬血清2回静脈内投与によるウサギ血清病モデルの大腿骨近位骨幹端に骨壊死が発生することを報告して以来、その病態解明に努めてきた。本モデルにおいては、馬血清1回投与のみでは骨壊死は発生せず、馬血清を3週間の間隔で2回静脈内投与すると、2回目投与後1週間で骨髄壊死と骨梁壊死が発生し、その骨壊死周辺には赤血球の漏出と細動脈内血栓の遺残が併存する。また、2回目投与後72時間以内の早期には、大腿骨骨髄内類洞への赤血球の漏出と細動脈内血栓などの早期微小循環障害が高頻度に発生し、骨壊死発生に深く関与することが示唆されている。さらに、血液学的検討によると、本系の早期病態において血小板の活性化が惹起されていることも推測されている。本研究の目的は、血小板活性化因子(PAF)の阻害剤(抗PAF剤)により2回目投与後早期に惹起される血小板活性化を抑制し、骨壊死や微小循環障害の頻度が減少するか否かを明らかにすることである。 【考察】本系は、馬血清の1回目投与により血中に増加した馬血清に対する抗体と2回目に投与された馬血清とが反応することで免疫複合体を誘導する古典的な血清病モデルであり、腎臓糸球体に免疫複合体の沈着が認められる。我々は、大腿骨の骨髄内類洞や細動脈内にも免疫複合体が沈着し、その免疫複合体の沈着と大腿骨髄内の赤血球漏出や細動脈内血栓などの早期微小循環障害とに有意な相関関係があることを明らかにした。 免疫複合体は、補体などを介して血小板などを活性化することにより血管内皮細胞の透過性を亢進させて血球成分の血管外への漏出を助長したり、血小板や好中球の活性化により血管内皮細胞の障害や血栓形成を促したりすると考えられている。血液学的観点からみた本系の早期病態の特徴は、馬血清2回目投与後24時間以内に発生する血小板数の持続的な減少、血小板凝集能やTXB2の一過性増加であり、これらの変化は、本系において血小板の活性化が惹起されていることを示唆するものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katsuya Nakata: "INDUCIBLE OSTEONECROSIS IN A RABBIT SERUM SICKNESS MODEL : DEPOSITION OF IMMUNE COMPLEXES IN BONE MARROW" Bone. 18・6. 609-615 (1996)
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[Publications] 中田活也,増原建作,松井稔: "血小板活性化因子阻害剤による骨壊死発生の抑制" 日本整形外科学会誌. 70(8). 1513 (1996)